2018/12/19

長崎へ 4日目

4日目の朝は平戸からスタート。宿泊先を朝6時半に出立すると、あたりは案の定、まだ真っ暗闇。例のごとく手をぶんぶん振りながら横ギリギリを走り抜けて行く自動車に轢き殺されないように必死のアピールを繰り返して平戸口桟橋のバス停を目指した。そこから僕の生まれた年に完成した平戸大橋を越えて、中心街の平戸桟橋まで15分。始発バスは朝早くから登校する高校生が複数名乗っていた。彼らは学校前のバス停でみんな降りていってしまったが、その際の降車のやり方が実に興味深い。みんなして後ろの方を振り返り、最後列から順々に降りていくのだ。きっとこの学校ではバスの乗り方としてこのように指導されているに違いない。

ただし、このとき、僕自身が最後尾に座っていたことが事を複雑にした。学生達はリュックを抱えた僕の方をじっと見つめ、降りるのか降りないのかを2、3秒見定め、「ああこの人、学校関係者ではないんだな」という暗黙の判断を下した上で、降車を開始したようだった。彼らにとってみれば、僕は担任教師と同じかそれより年上となるのだろうか。ほんの数秒の間ではあったものの、僕と彼らとの間で、バーチャルな先生と生徒の関係性が僅かばかり香ったのが非常に興味深く感じられたのだった。


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2018/12/18

長崎へ 3日目

野崎島から無事帰ってきて、ホッとした心境で迎えた3日目。

小値賀島で宿泊した「島宿御縁」があまりに気持ちのいい空間だったので、ここは天国なのかというくらいにゆったりとくつろいでしまいました。部屋の窓からはすぐそこに海が見え、ふとんはフカフカで、食事は美味しいし、何よりも個室にトイレとお風呂が付いているのが嬉しいところ。通常の島宿ではあまり得られない充実した空間が広がっていました。

また、ご主人もとてもエネルギッシュかつ情熱に溢れた方。元々は外国人の旅行者をつれて日本国中を案内して回るツアー・コンダクターとして活躍されていたのだそう。その後、実家のある小値賀島へ戻り、これまでのように自らいろんな場所に出向くのではなく、この小値賀の地こそを「世界中から人の集まる場所」にすべく日々構想を巡らされているのだそうです。

生まれてからずっと小値賀でがんばっている方もおられる一方、UターンやIターンで小値賀で暮らし始めた若い世代も多いとのこと。外の世界で何らかのプロフェッショナルの腕を磨かれ、それを用いてこれまでになかった様々な新風が吹いている模様。「島宿御縁」さんが提供する居心地のよい空間もそうですが、ほかにも島のご自慢の特産物を洗練されたデザインのパッケージングと打ち出し方で全国へと届ける「しまうま商会」さん、そして今回、通りかかったときにはすでに完売御礼と張り出されていた「こじこじぱん」さん、家業の活版印刷を用いておもしろい取り組みを続ける「OJIKAPPAN」さんなど、気になるお店は数知れず。都会と比べてアイディアをどんどん具現化していくことのできる島という空間は、ある意味、ひとつの大きな可能性のかたまりなのかもしれません。

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2018/12/13

長崎へ 二日

博多からのフェリー太古が五島列島の小値賀島に到着したのは午前4時40分頃。巨大な船体が走り去った後の周囲は、どこまでが陸でどこからが海なのか分からないほど暗い。ターミナルの仮眠室で朝まで過ごせるという。利用者は僕一人。ここでターミナル内にある「おぢかアイランドツーリズム」が開くのを待つ。

今回、小値賀島を訪れるきっかけとなったのは、ここからほど近い野崎島にある旧野首教会の存在だった。


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長崎へ 第一日

朝から大きなリュックを抱えて満員電車で羽田へ向かい、空路で福岡へ。単なる帰郷ならそのまま長崎入りすれば良かったわけだが、たちどまり、迂回し、大きく遠回りして寄り道ばかりしているのは何も今にはじまったことではない。そんな自分の性格と格闘するかのように、福岡では西鉄福岡駅から1時間ほどかけて大堰というローカル駅へ。あいにくの雨。列車を降りると横殴りの風雨に翻弄されて、慣れない一本道をトボトボと歩く。走り抜けるトラックに水をぶっかけられながらも一向に心が折れなかったのは、このだだっぴろい平野の向こうにずっと双塔の建物が見え続けていたから。まるで北極星に導かれるたびびとのように、歴史ある教会建築、今村天主堂を目指した。

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このあたりは禁教時代にもひそかにキリスト教が守り抜かれ、今から150年前に大浦天主堂のプティジャン神父とその信徒達によって「信徒発見」された地区だという。その後、明治の終わりにレンガ作りの天主堂が着工され、大正2年に完成した。設計は教会建築で名高い鉄川与助。

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近くから見ると本当に大きな教会であることがわかる。中に入れて頂くと、はじめはその仄暗さになれるまで時間がかかったものの、目が慣れると様々な細部が浮かび上がってきた。大天使ミカエル像。ぐるりと取り囲むキリストの受難を物語った絵画の連作。建設当時から変わらぬままという木造の床は時を経てますます黒光りしており、ふと触れた木の柱も一本一本が力強く構造を支えている。ステンドグラスからの光が、外が大雨であることをすっかり忘れさせる。ご案内いただいた方の、この教会を単に文化財として受け継ぐだけでなく、その中身の部分(信仰)も伝えていかなければという言葉が印象的だった。

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帰り道には、目指すべき星などなく、雨に打たれっぱなしで体力的にも疲労困憊。その後、天神に戻ってからはKBCシネマでチリー・ゴンザレスのドキュメンタリー「黙ってピアノを弾いてくれ」を鑑賞。そういえば今日、何も食べていなかったことに気づき、雨と寒さで思考停止に陥りながらも、なんとか9月に福岡インディペンデント映画祭で訪れた川端商店街にて、本日最初の食事にありつく。このエリアでの行動は慣れたものなので、途端に元気になり、3ヶ月ぶりの懐かしさをところどころ確認して回る。これからの2食分の食事や水分の調達なども。

博多港へ歩きで移動して、23時45分発の五島行きフェリー太古に乗り込む。「強風の影響でかなり揺れる」との情報。船員さんのアドバイス通り、船体の真ん中付近のエリアに横になり、出航前に酔い止めを服用。酔いは、視覚情報と身体の揺れとのズレから引き起こされることが多いらしく、出来るだけ目を閉じて過ごした。本当は熟睡したかったのだけれど、底から突き上げて引きずるような揺れで眠れなかった。そういえば、昨晩もギリギリまで仕事していて一睡もできなかったなと思い返す中、トイレからは船酔いされた方の苦しそうな声が絶え間なく響き続けていた。服用のおかげとはいえ、昔から身体の弱かった自分が、この船旅をなんとか乗り切ったことは大きい。

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2018/10/11

リトル・ミス・サンシャイン

2006年にスクリーンを席巻し、あらゆる世代の心をガッチリと掴んだ傑作、『リトル・ミス・サンシャイン』に関する二つの記事をCINEMOREに書かせていただきました。ご興味ある方はぜひチェックしてみてください。

初脚本でオスカー受賞。脚本家マイケル・アーントが『リトル・ミス・サンシャイン』で魅せた魔法

まるで舞踏団のようにバッチリ息のあった”サンシャイン”家族は、いかにして生まれたのか?

毎回、CINEMORE(シネモア)の記事を執筆する時は、お題となる映画を執念とド根性で掘り起こし、ようやく書き終わった時には、安堵と達成感と疲労が相まって半ば気絶するかのようにベットに倒れこんでおります・・・。もしこの手合いの記事をもっと読みたいと思われた際には、ぜひ芋づる式に他の記事もご覧いただけますと大変嬉しいです(執筆者名をクリックすると執筆記事一覧が表示されるようです)。体力と気力の続く限り、まだまだ頑張ってみようかと思っています。

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アントマン&ワスプ新聞広告

朝日新聞(10/5)に掲載された『アントマン&ワスプ』の広告にて、以前WEBで執筆したレビューの抜粋を使っていただきました。ありがとうございます!

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いよいよ本作の上映も11日で終了。アイディアと笑い満載で、文句なく面白い作品です。ぜひお見逃しなく。

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2018/09/14

プーと大人になった僕

9月14日(金)より公開を迎えるディズニーの実写映画『プーと大人になった僕』の劇場パンフレットにレビューを寄稿させて頂きました。映画館でのご鑑賞の折にはぜひ手にとってご覧いただけますと幸いです。『ドリーム』のアリソン・シュローダーや『スポットライト』のトム・マッカーシーらも脚本参加した、心がほっこりする秀作です。

Robin

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