覚書

・いろいろと駆けずり回って、時間が足りない。これで原稿書いて、作品選びして、企画書書いて、新作をチェックして、劇場にも足を運んで・・・あっという間に明け方になってしまう。そしてもう一つやり残していることがある。来週はどこかのタイミングで必ずシネマロサでやってる『コーンフレーク』を観に行く。磯部監督や主演のGONさんと直接お会いしてみたい。

・年明けて初めて通院すると、院内の仕組みがすっかり様変わりしていて、ちょっとした衝撃を受ける。効率化されているかと思いきや、以前よりも全ての過程において時間がかかっているところを誰かが俯瞰して見つめて指摘してあげた方がいい。新作『いつかの君にもわかること』を観た。舞台はアイルランド。余命わずかのシングルファーザーが、近い将来、自分の手から離れゆく幼い息子のための養子縁組の面会を重ねていく物語だった。ウベルト・パゾリーニ監督(彼の『おみおくりの作法』は『アイ・アム まきもと』としてリメイクされた)は今回も死と生を切り口に上質な人間ドラマを紡ぐ。決して涙や感動を押し付けない抑制された演出ゆえに、観賞後の余韻がより深いものに達している。父親の窓拭き職人という職業も重要で、「窓」を介してちょっと距離を置いて客観的に生活や人生を見つめる視点が添えられているのが印象的だった。

» 続きを読む

|

2023年1月24日 (火)

イニシェリン島の精霊

映画.comにて『イニシェリン島の精霊』のレビューを執筆させて頂きました
今回もマーティン・マクドナー節を心ゆくまで堪能できる一品。これまで映画長編作ではベルギーやアメリカといった国外ばかりを描いてきたマウドナーですが、今回の長編4作目にして初めて自身のルーツでもあるアイルランドが登場します。しかし決して本土ではなく、西海岸沖に浮かぶイニシェリン島という架空の島が舞台。そこで一体どんな奇想天外な物語が巻き起こるのか・・・僕がどれだけ言葉で説明しようとしてもマクドナー作品は刻々と変幻自在に姿を変えていくので、執筆しながら本当にまいりました。

追記:アカデミー賞候補リストが発表されました。『イニイェリン島の精霊』は、作品賞、監督賞、主演男優賞、助演女優賞、助演男優賞×2人、脚本賞、編集賞、作曲賞で候補入りを果たしています。

|

2023年1月22日 (日)

『コーンフレーク』パンフにて

現在公開中、磯部鉄平監督作『コーンフレーク』のパンフレットにてレビューを執筆しております!

磯部作品に初めて触れたのは、福岡インディペンデント映画祭の上映の折。それから東京での上映やネットでの配信を通じて様々な作品に触れ、一方的にすごくファンだったのですが、一度もお会いしたことはなく、まさか自分の名前を知ってださっているなんて思いもしなかった。

年末に磯部監督ご自身からオファーをいただいた時にはとても驚いて、「僕なんかでいいんだろうか?」と何度も自答してしまいましたが、もし公開後に他の方が執筆しているのを目にしたら絶対後悔すると思ったので、ここは覚悟を決め・・・いや違いますね・・・実際には大きな喜びを持って、引き受けさせて頂きました。

磯部監督の作品には何かこう、主人公の悩みに対し、無理に励ますでもなく、背中を押すでもなく、ただじっと寄り添っているかのような不思議な魅力があります。共に街を彷徨い、夜を超えていくことで、観る者の心の奥底が不思議とあったかくなっていくところがあるんですよね・・・僕自身、まるでこの作品の魅力に導かれるように、明け方、ちょうど日が射してくるころに原稿を書き終えました。

どうか『コーンフレーク』が多くの方のもとへ届きますように。そしてこれからも磯部監督の作品世界が多くの方のもとへ広がっていきますように。

|

2023年1月15日 (日)

大人が見ておきたいビジネス映画5選

Safari Onlineにて「大人が見ておきたいビジネス映画の名作5選」について執筆致しました。うーん、なかなかの名作揃いで、見応えと書きごたえがありました。しかも一本一本から受け取るメッセージやテーマ性も実に興味深い。これ5本を見ると、自ずとアメリカンドリームとは何なのか、という次元にまで意識が浸透していきそうです。

|

連載「シネマでひと息」

雑誌COMPANY TANKの新春号に、連載コラム「シネマでひと息」が掲載されております。今回は1月公開の英国映画『ドリーム・ホース』を取り上げてみました。

Dscn6273 Dscn6270

我々は一度失った埃りやプライド、団結力、挑戦することへの情熱をいかにして取り戻すことができるのかーーーそんなテーマをとても温かい目線で謳いあげてくれる名作です。この作品を取り上げることができてよかったなと思っています。

通常の映画情報やレビューなどとはちょっと異なる視点でチョイスできるのが「シネマでひと息」の魅力。一言で言うと何らかの”おしごと”の目線が加わった作品を中心に候補作を絞っています。毎回、編集担当者さんとお電話で切り口などを打ち合わせして執筆にあたっているので、ちょっとしたオーダーメイドの記事と言えるのかもしれません。

新春号の表紙も素敵です。自分の中で2023年をまっすぐ見つめる気持ちと姿勢が整っていくのを感じます。

|

北欧サスペンス&ドラマ

Safri Onlineにて「北欧サスペンス映画&ドラマ」に関する記事を執筆致しました。このところ異様な盛り上がりを見せる北欧ノワールと呼ばれるジャンル。その流れの決定的なターニングポイントや、現在Netflixで押さえておきたい最もベーシックな重要ドラマシリーズなどをご紹介しております。実は執筆にあたってこの10倍くらいの作品やドラマをチェックしたのですが、この魅力の底無し沼に自分自身が引きずり込まれて行ってしまい、本当に危なかったです。

ブームの火付け役としては、北欧ドラマにもかかわらず英国BBCでも放送されて人気を博した「The Killing」や「The Bridge」、はたまた映画『ミレニアム』3部作のヒットなどが挙げられますが、個人的にこれを少し遡ったところにある、ケネス・ブラナー主演のBBCドラマ「刑事ヴァランダー」もとても重要だと思っています。

「ヴァランダー」はスウェーデンの人気作家ヘニング・マンケルの小説が原作で、もちろん物語の舞台もスウェーデンなのですが、ドラマそのものの言語としては英語が使われています。2000年代の終わりにこれがBBCで人気を呼んだことで視聴者の間で北欧への興味関心が高まり、それがなんらかの下地にもなって、その後の「The Killing 」や「The Bridge」の社会現象的ヒットにつながっていったのではないかなと。

ちなみに「刑事ヴァランダー」にはヘニング・マンケル自身が設立に関わったYellow Birdも製作に参加しており、この制作会社はスティーグ・ラーソン原作の『ミレニアム』3部作や、ジョー・ネスボ原作の『ヘッドハンター』といった映画作品でも高い評価を獲得しています。

|

インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア

CINEMOREにて『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』についての記事を執筆しました。2022年にはトム・クルーズのことやブラット・ピットのことを調べたり記事にする機会があったので、その総決算のような二人の伝説的な共演作について書き上げることができて嬉しかったです。ご興味ある方はぜひご覧ください。

|

2022年11月26日 (土)

涙無くして観られない感動映画5選

Safari Onlineにて愛され続ける感動映画5選をご紹介しております。これらの5本、久々に見返してみましたが、やっぱり時を隔てても面白いものは面白い。熟成されるにしたがって味わいがまろやかに変わっていくと言いますか・・・もちろん映画の中身は全く変わっていないので、観る側のわたしたちがそれだけ歳を重ねているということなのですが。では何が”熟成”しているのかというと、これはひとえに、映画と私たちの関係性に他ならないのではないでしょうか。関係性が熟していく。その先にどのような味わいが待ち構えているのか。もう少し時間をおいて、定期的に味を確かめて観たいものです。

|

2022年11月 9日 (水)

ドント・ウォーリー・ダーリン

映画.comにて『ドント・ウォーリー・ダーリン』のレビューを執筆しました。主人公がアリスという名前で、劇中にやたらと鏡やガラスといったものが映し出されるのも、面白いポイント。この50年代風の奇妙な世界は一体何なのか。人気急上昇のフローレンス・ピューが好演しています。

これとは別に映画.comで毎月10本ずつ書き溜めている個人レビューも730本を数えるまでになりました。ご興味ある方はぜひ覗いてみてくださいませ。

|

2022年11月 1日 (火)

シネマでひと息『アフター・ヤン』

隔月刊誌「COMPANY TANK」の映画コラム「シネマでひと息」。
早いものでこの連載も4回目となりました

最初は戸惑っていた「です、ます」調も、今ではなんだか心地よく感じられたり。
今回は現在公開中のコゴナダ監督作『アフター・ヤン』を取り上げています。

Ct202211

|

«小説「小さなことばたちの辞書」