故郷の長崎へ
久々となる故郷の長崎へ帰省。前回の旅のお供の一冊は遠藤周作の「女の一生」上下巻でしたが、今回はカズオイシグロの初長編小説「遠い山なみの光」を選択。しっかり読み込んで感情を高めた上での旅路となりました。
長崎観光といえば、お馴染みのグラバー園とか、大浦天主堂とか、眼鏡橋、中華街、平和公園などが真っ先に思い浮かぶものですが、私にとっては路面電車とか稲佐山とか、長崎で暮らしていた幼少期〜青年期には当たり前の日常だった光景に再び触れられることが、何よりも嬉しく、懐かしく思えました。ガタガタと揺れる路面電車の車内には優しい日差しが注ぎ、それが心地良くて、僕はいつも気がつくとすっかり眠ってしまいます。
宿泊先の窓から稲佐山が見えました。ちょうど読み終わったばかりの「遠い山なみの光」にも登場人物たちがロープウェイで稲佐山を登る場面が登場します。そんな彼らにしばし思いを馳せつつ・・・。
夜になると薄紫の照明が電波塔をミステリアスに彩ります。ずっと窓から見入っていると、夜22時きっかりにぱっと明かりが消えました。その時間まで誰かがそこにいて、お仕事されていることを想像し、自ずと「お疲れ様です。おやすみなさい」とつぶやいてしまいました。
久々の帰省で日々、多くの方々にお会いしました。昼も夜もお酒やおご馳走をいただく機会が目白押しだったため、空いた時間には宿泊先のジムのランニングマシーンで適度に走り込み、怠惰にならないように体づくり。おかげで3泊4日で気持ちがすっかり若返りました。世界中のどんな国へ赴くより、やっぱり故郷が与えてくれるものは格別ですね。
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