ドリームランド
『ドリームランド 』を観た。’30年代テキサスを舞台に、無慈悲な砂嵐によって幾度も運命を翻弄されてきた青年と、納屋に逃げ込んできた指名手配中の女性とが、共に”ここではない何処か”を夢みる。大自然の脅威とよく言うが、この自宅のすぐそばにある納屋にさえたどり着けない砂嵐の凄まじさは、どこか家族でありながら心を通わすことのできない人間関係を象徴しているところがある。また「窓」や「扉」といった存在も印象的だ。そこでは遠くからゆっくりと運命が近づいてくるのが見え、また自分の思いを成し遂げようと思えば、必ずそれらを踏み越えねばならない。とするなら、時折映し出される記録フィルム風な映像もまた、「画角」という窓を変えた情景であり、美しき記憶であり、または、こうでありたいと必死に手を伸ばし続ける景色。全体的にまとまりのないところ、物足りなさはあるが、マーゴット・ロビーが製作を買ってでただけあり、独特の味わいを持った作品である。
監督:マイルズ・ジョリス=ペイラフィット
出演:フィン・コール、マーゴット・ロビー
原題:DREAMLAND (2019/アメリカ)
| 固定リンク