2021年4月 7日 (水)

ドリームランド

『ドリームランド 』を観た。’30年代テキサスを舞台に、無慈悲な砂嵐によって幾度も運命を翻弄されてきた青年と、納屋に逃げ込んできた指名手配中の女性とが、共に”ここではない何処か”を夢みる。大自然の脅威とよく言うが、この自宅のすぐそばにある納屋にさえたどり着けない砂嵐の凄まじさは、どこか家族でありながら心を通わすことのできない人間関係を象徴しているところがある。また「窓」や「扉」といった存在も印象的だ。そこでは遠くからゆっくりと運命が近づいてくるのが見え、また自分の思いを成し遂げようと思えば、必ずそれらを踏み越えねばならない。とするなら、時折映し出される記録フィルム風な映像もまた、「画角」という窓を変えた情景であり、美しき記憶であり、または、こうでありたいと必死に手を伸ばし続ける景色。全体的にまとまりのないところ、物足りなさはあるが、マーゴット・ロビーが製作を買ってでただけあり、独特の味わいを持った作品である。

監督:マイルズ・ジョリス=ペイラフィット
出演:フィン・コール、マーゴット・ロビー
原題:DREAMLAND (2019/アメリカ)

 


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2021年4月 6日 (火)

21ブリッジ

マンハッタンを封鎖して犯人を追う『21ブリッジ』。チャドウィック・ボーズマンが製作主演を兼ねるだけあり、要所要所で重厚さが際立つ。主人公の複雑な胸中が、アクションやサスペンスを妨げないレベルで巧みに織り込まれ、観やすく分かりやすいのに何かがしっかり残る良作に仕上がっていた。

▶︎「俳優たちの存在が巧みに機能し合っている」

 

監督:ブライアン・カーク
出演:チャドウィック・ボーズマン、シエナ・ミラー
原題:21 Bridges (2019/中国=アメリカ)

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2021年4月 5日 (月)

ミナリ

A24とPLAN Bが贈る『ミナリ』素晴らしかった。韓国からアメリカへ渡り、さらには農業で一旗あげようとアーカンソー州の大自然へ越してくる家族の物語。「水」を織り交ぜた瑞々しい映像と、家族それぞれの心象とが見事に調和して描かれ、胸打たれる。途中参戦するおばあちゃんと、あと名優ウィル・パットンが醸し出す存在感も絶品。


▶︎「この一家の暮らしをずっと見つめていたくなる」

 

監督:リー・アイザック・チョン
出演:スティーヴン・ユアン、ハン・イェリ
原題:Minari (2020/アメリカ)

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