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2005/09/13

幸せになるためのイタリア語講座

久々に「これは!」と思わせる魅力的な邦題で登場したのは、北欧デンマークから届いたヒューマン・ラブ・コメディ。第51回ベルリン国際映画祭において銀熊賞をはじめ4部門での受賞を果たし、その後も世界各地の映画祭で絶賛された。リアリズム重視の撮影手法「ドグマ95」(たとえば、特殊効果は厳禁。エンドロールさえも手書き。音楽はサウンドトラックとしてではなく、その場に流れているものを利用。セットや衣装は現地調達。照明は自然光を採用・・・などなど。これらを守れなかったときには非情なる制裁、いや冗談、「私はこれこれを守れませんでした」という告白をしなければならない)を採用しながらも、爽やかな幸福感を画面いっぱいに呼び込んだのは女性監督ロネ・シェルフィグ。キシリトール配合のちょっぴりヒンヤリとした北欧の感触が心身をリフレッシュさせてくれる一作である。

Italian
舞台はコペンハーゲン近郊のとある街。仕事、恋愛、家族・・・身の回りに様々なトラブルや悩みを抱え、うつむき加減な毎日を過ごしている6人の男女は、それぞれの思いを胸に、週に一度のイタリア語 講座への参加を決める。やがて、いくつもの出来事や偶然を通じて、その講座は彼らにとっての生きる原動力となっていく。だがある日、担当教師が授業中に胸の痛みを訴えて救急車で運ばれてしまう。案の定、講師を失った講座は無制限休校に。それでも6人は週に一度、何となく講座へと集ってしまうのだった。彼らはそろそろ気付き始めていた、自分から進んで行動しなければ何もつかみ取れないことを。今週もまた開講日がやってくる。いつもの場所、いつもの時間。だが今日は様子が違う。何かが起こりそうな予感が満ち満ちている・・・!

人生のうち一度でもスクーリングを経験した人ならば、本作の楽しさはきっと倍増するに違いない。あの扉を開ける時のドキドキ感。ほんの少しだけ日常と違った世界へとトリップできる新鮮さ。本作は、人生をより充実させたくて試行錯誤を繰り返す人への心温まる応援歌として、一歩踏み出す小さな勇気を与えてくれる。悩みを抱えた者どうしが週に一度集まるその空間は、まるで教室のカタチをした船のよう。一路、イタリアを目指す6人は、時に“逃避”とも“リセット願望”とも取れる台詞を口にするかもしれない。しかしそれを大いなる“船出”と捉えると、一気に視界は開け、明るさを増していく。

今日も「ボン・ジョルノ!」と口にした瞬間、船は大きく動き出す。だから僕らも精一杯の笑顔で、こう返そう。

"Buon Viaggio!(よき旅を)"。

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