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2005/09/12

『ラスト・サムライ』

「七人の侍」などの名作を通してその存在を世界に知られ、愛されてきた日本の“サムライ"たち。彼らは果たして歴史上どのようにして姿を消していったのか。日本でもほとんど知られざるその壮絶な灯火を、ハリウッドが誇るスタッフ、キャストが圧倒的スケールで描いた歴史絵巻がここに誕生した。主演のトム・クルーズもこの題材には心底惚れ込み、公開前に3度も来日キャンペーンを行うほどの気合の入れよう。日本からは渡辺謙、真田広之、小雪らが堂々たる貫禄でこれに参戦している。監督は手堅い演出で知られる「グローリー」「レジェンド・オブ・フォール/果てしなき想い」のエドワード・ズウィック。

ネイサン・オールグレン(トム・クルーズ)は、かつてネイティブ・アメリカン討伐のために活躍した英雄だった。明治政府の使者・大村(原田眞人)は、そんな彼を“サムライの根絶"という任務にふさわしい人材と判断し、破格の待遇で日本へ招く。急ピッチで政府軍の近代化を進めるオールグレンだったが、突如、軍が未成熟なままでの出陣を余儀なくされ、初陣にあえなく敗退してしまう。敵陣に取り残され捕らえられた彼だったが、敵のサムライの大将・勝元(渡辺謙)の一存で生かされ、彼らの村で少しずつ日本の文化に浸っていく。月日は過ぎ、いつしか彼は外見は異人でありながら心は立派なサムライとなっていた。一方で、この国の西洋化は止まるところを知らない。廃刀令など厳しい法令の制定は、事実上、この国のサムライへたちへの最後通達であった。果たして勝元ら“ラストサムライ"たちは、この先にいかなる運命を選択するのか?

まずはこの映画に関わったすべての人々に僕は心から謝りたい。またまた日本を扱ったトンデモ映画の登場かと、心の中でそう馬鹿にしていたのだ。それが違った。とにかく素晴らしい出来だった。ハリウッド大作でこんなにも感動し充実感に満たされたのは「グラディエーター」以来かもしれない。日本人である我々が嫉妬してしまうほどの映像的美しさ、そしてサムライの魅力溢れる生き生きとした描写、いや、とどのつまりの“カッコ良さ"。徐々にサムライへと傾倒していくトムも申し分ないほどカッコいいのだが、渡辺謙、真田広之の見せる人間的な魅力についてはこれがただごとではなく、彼らが一丸となって挑む生死を賭けた闘いには、スケールの大きさだけでは決してない、何か熱くこみ上げてくるものが抑えられなかった。これは僕の中にも流れる日本人の血のせいなのか、それとも万国共通の想いか。とにかく2時間半、圧倒的に魅せる!魅せる!魅せる!見終わった後にしばらく席を立てなくなるかもしれないので、くれぐれもご注意を。ちなみに、“寡黙なサムライ"という役どころを“斬られ役一筋40年"の福本清三がとてもいい味出して演じているので、こちらも特筆しておきたい。彼を起用したキャスティングの巧さにも頭が下がる思いだ。

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