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2005/09/12

『ゴシカ』

精神科医の身に巻き起こる想像を絶する恐怖を描いたゴシック・ホラー。「チョコレート」のH.ベリーを主演に迎え、「バニラ・スカイ」のP.クルスが鬼気迫る演技を見せ、薬物依存から立ち直ったR.ダウニーJr.は嘘か誠か分からぬ浮遊感たっぷり演技で作品世界を撹乱させる。監督は、「クリムゾン・リバー」なども手掛け、「アメリ」では主人公のボーイフレンド役としてクセのある好印象を残したM.カソビッツ。

森の奥にある刑務所精神科病棟。精神科医のミランダ(H.ベリー)は、問診のたびに悪魔のはなしを物語るクロエ(P.クルス)に頭を悩ませていた。その夜、仕事を終えて車で帰宅していた彼女は、突然、雨の中でずぶ濡れの少女に遭遇。驚いて駆け寄ると少女は途端に発火し、みるみるうちに燃え上がってしまった。そこで、はっと目が覚めた。次の瞬間、ミランダは監獄の中にいた。同僚の医師ピート(R.ダウニーJr.)は彼女に驚愕の真実を告げる。昨晩、ある殺人事件が発生したというのだ。被害者はミランダの夫、加害者はミランダ…。彼女は昨晩の記憶のいっさいがなくなっていた。しばらくして、誰もいないはずの独房に“NOT ALONE"とメッセージが浮かび上がる。誰もいないはずの独房にどうやって…。彼女はいま、未知なる恐怖の扉を押し開こうとしていた。

この作品の要は“ロバート・ダウニーJr."である。周知の通り、薬物に関する(2度目の)ペナルティとして矯正施設での生活を余儀なくされた彼を、もはや「チャーリー」の主役として見つめ直すのは困難だ。あの意味深な目の輝きを、我々は今では何かしらの“危なっかしさ"として受け止めているが、それをただ匂わせるだけで、本作の面白さは抜群に膨らみを増している。「ゴーストシップ」「TATARI」の製作会社ダーク・キャッスルらしいCG技術を駆使したギミックの数々、「炎の少女チャーリー」や「シックスセンス」(本筋には関係ないのだが)からの引用、“水"のイメージがもたらす不安感など、一個一個の関連性が実に楽しく絡み合っている。場当たり的で意味不明のホラーではなく、怪奇現象に関する“ことの発端"を追究させるあり方は、「ザ・リング」以降の新たな潮流として認識されつつある。

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