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2005/09/12

『アフガン零年』

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タリバン政権崩壊後、初めて製作されたアフガニスタン映画。メディアが伝える外からの状勢ではなく、中から湧き上がってきた国民の叫びを代表するかのような作りに多くの支持が集まり、2004年ゴールデングローブ賞外国語映画賞、2003年カンヌ国際映画祭カメラドール特別賞などの数々の受賞につながった。監督は、かつてアフガンで映画監督として活躍し、タリバン台頭後は難民となってパキスタンへ逃げ延びたセディク・バルマク。「カンダハール」のモフセン・マフマルバフが資金・人材・機材の全面的サポートを行っている。

タリバン政権下のアフガニスタン。父や兄を失い、母と祖母とともに過酷な生活を余儀なくされている少女がいた。女性が身内の男性を同伴せずに外出すると刑罰が加えられるこの国で、男性がいないということは生活の糧を失うことを意味していた。少女は家族のために、生き延びるために髪を切り、少年となって働き出す。しかしある日、少女への疑いの目は思わぬ非情な形となって訪れる。

「文部科学省選定作品」との謳い文句が象徴する“お行儀のよいもの”を期待するととんでもない仕打ちを食らうだろう。ここに拡がるのはなんとも理不尽な光景だ。しかし、映像的には美しい。その大きなギャップがアフガンの特殊な状況を知らなかった我々にも何かしらの取っ掛かりを与えてくれる。日本の自衛隊は易々とイラクへ飛んでいったが、しかしアフガンのことはもう誰もが忘れようとしているのではないか。そうやって情報をいちいち更新して生きていられる我々は実に幸せだ。主人公の目に映る恐怖の日々は、寝ても覚めても同じ現状が横たわっているのだから。タリバンが崩壊し、本作で取り上げられた“その時代”は幕を閉じてたものの、その記憶は永遠に残り続ける。少女の目が訴える哀しみが、笑顔を取り戻せるまでの距離の遠さを物語っているかのようだ。

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