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2005/09/12

『半落ち』

2003年版「このミステリーがすごい!」(宝島社)で堂々1位を獲得した横山秀夫による原作小説を、「陽はまた昇る」の佐々部清監督が映画化。出演は、「雨あがる」「阿弥陀堂だより」の寺尾聡、「あぶない刑事」シリーズでお馴染みで夏には「69シクスティナイン」の公開も控える柴田恭平、「学校」シリーズやテレビ「北の国から」の吉岡秀隆ら。

元捜査一課の敏腕警部、梶(寺尾聡)が警察署へ出頭してきた。アルツハイマー病を患っていた妻に懇願されて3日前に自らの手で妻を殺害したというのだ。刑事を辞した後、警察学校で後進の指導に当たっていた彼はその人柄から広く敬愛を集めていた。そんな人物が何故・・・?取り調べにはベテランの志木(柴田恭平)があたることになる。梶は犯行については素直に認めるものの、彼が出頭するまでの“空白の2日間”については頑なに口を閉ざし、この“半落ち”状態に警察は大いに頭を悩ませる。やがて事件は表ざたとなり、その推移とともに担当検事(伊原剛志)、弁護士(國村隼)、新聞記者(鶴田真由)、判事(吉岡秀隆)らをまみえて、やはり“謎の2日間”に焦点が絞られていく。梶が隠していることとはいったい何なのか。彼はそこまでして誰を守ろうとしているのか。

ターゲットとなる観客層の年齢が少し高めに設定されているとのことで、試写ではなく劇場で、まさしくその年代の人々と鑑賞してみた。驚いたのはクライマックスが過ぎてエンディング・ロールが始まっても多くの観客がなかなか席を立てずにいたことだ。CMで幾度も耳にしていたはずの主題歌が、いまこの瞬間になんと穏やかに胸に響いてくることか。その中でふと思いを馳せるのは、登場人物にただの一人も“悪者”がいないということ。事件のやりきれなさに比例して、いつしかすがるような気持ちでそれぞれのキャラクターに“人間の善意”を追い求めていた私にとって、彼らはとても真摯な態度で答えを返してくれたように思えた。スタッフに関しても同じことが言え、誰もが奇をてらわずに実直なまでに丁寧に作りこんでいった様子がひしひしと伝わってくる。きっと原作モノの映画化としてこれ以上の出来はあり得なかっただろう。

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