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2005/09/12

『ニューオリンズ・トライアル』で、カテリーナ襲来前に想いを馳せる。

原告側―ダスティン・ホフマン、被告側―ジーン・ハックマン。

数々の名画で観客をうならせてきたこの2大俳優が、銃器製造の是非をめぐる法廷(トライアル)の表と裏で激しいバトルを繰り広げる!そして、両者の境界線に“陪審員”という立場で絡みこんでくる謎の主人公を熱演するのは『ハイ・フィデリティ』『アドルフの画集』の演技派ジョン・キューザック。また、もうひとりのキー・パーソンとなる謎の女性役に『ハムナプトラ』シリーズのレイチェル・ワイズ。紅一点の逆境に負けじと、頬に青アザを作りながらも豪華俳優陣を相手に堂々と渡り合う度胸の良さを見せてくれる。原作は、「ザ・ファーム/法律事務所」「評決のとき」など数々の傑作サスペンスを次々と世に送り出してきたJ.グリシャム。彼の小説が映画化されるのもこれで8度目となる。

ことの始まりは2年前の忘れがたい事件にさかのぼる。とある証券会社で銃の乱射事件が発生。犯人は11人を射殺し、自らも自殺する。犠牲者の妻は悲しみをやがて怒りに変え、ベテラン弁護士ローア(D.ホフマン)と共に銃器メーカーへの告訴を決意する。一方、負けの許されないメーカー側は、今回の裁判にやり手の陪審コンサルタント、フィッチ(G.ハックマン)を起用。その仕事とは、評決の鍵を握る陪審員一人ひとりへの裏工作である。だが彼は、陪審員のひとり、ニック(J.キューザック)という男の真の「目的」にまだ気付いていなかった。ニックは持ち前の人の良さから陪審員の中で機用に信頼を拡げていく。ちょうどその折、原告・被告の双方に謎の女性マーリー(R.ワイズ)から「陪審員、売ります」との打診が入る。裁判の行方は今、予想もしない方向へ突き進みはじめていた。

期待を裏切らない“骨太な”つくり。話題のジーン・ハックマンとダスティン・ホフマンの直接対決はなかなか訪れず、これはひょっとして『ヒート』のアル・パチーノとロバート・デ・ニーロ(に関するウワサ)のように一度も現場に居合わせることのない“共演”なのでは?と怪しんでみたのも束の間、なんと待望の瞬間は「トイレ」で炸裂する。紛れもない本人同士の演技バトル。法廷モノでありながら、最大の見せ場がトイレで巻き起こるなどというこの乾いたジョークに必死に笑いをこらえながらも、彼らのまるで刃物を突きつけ合ったかのような激しい“言葉”の応酬に、しばし茫然とさせられる。もちろん、“普通っぽさ”が最大の売りのジョン・キューザックも忘れてはならない。主人公としての圧倒的な“カリスマ性の無さ”を誇る彼の演技は、観客の視点を裁判制度の内部へと向かわせるために計算しつくされた設定に基づいており、驚きのラストへとつながる重要な伏線とも言えるだろう。

最後に、先日の“カテリーナ”の犠牲になられた方に深い哀悼の意を表しておきたい。

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