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2005/09/12

『リクルート』

前作「13デイズ」でそのスリリングな描写力を絶賛されたR.ドナルドソン監督が放つ衝撃のトリック・サスペンス。ハリウッドの重鎮A.パチーノと若手実力派NO.1のC.ファレルが第一級の演技バトルを繰り広げるのに加え、本作ではなんとCIAの全面協力が実現。その細部にいたるまでの事細かな再現には関係者も舌を巻くほどだとか。極めて男臭い状況の中をほぼ紅一点で立ち回る「トータル・フィアーズ」のB.モイナハンにも注目。

ジェイムズ(C.ファレル)は全米屈指の大学MITで最も優秀な生徒。卒業を控えたある日、企業向けにデモンストレーションを行う彼の姿を遠くからじっと見つめる人影があった。その謎の人物の名はバーク(A.パチーノ)。彼はジェイムズに声を掛け、自分がCIAのベテラン教官であり、彼を是非CIAへリクルートしたいと考えているということを告げる。はじめは冗談だと思い受け合わなかったジェイムズだったが、長年の謎である“父の死”に関する情報をバークがふと匂わせたことから、その誘いに応じることにする。次々と試験を突破するジェイムズ。長きに渡る厳しい訓練も終盤に迫った頃、彼の元にバークから「CIA内に潜伏する二重スパイを摘発せよ」との極秘任務が下る。これまで学んだことを生かしながら、そのミッションを無事に遂行できるかに見えたその時、彼は自分が予想もしない事態に巻き込まれていることを知る。耳に響くのは「自分の五感さえも信じるな」というバークの教え。果たしてジェイムズは窮地を脱することができるのか。

なるほどCIAのリクルートとはこのように行われていたか。かつて織田祐二が主演した邦画「就職戦線異状なし」をCIA版に置き換えるとズバリこんな風になるわけだ。その切り口からしてとても斬新で興味をそそられる。だが、最大の問題は作品の中に潜んでいた。せっかくのそれらの詳細な状況設定をA.パチーノとC.ファレルの演技バトルが見事に“食って”いるのである。彼らの醸しだす最上級の緊張感は、ただそれだけでひとつの魅力として確立されるほどのものであり、CIAなんたらという要素が束になってかかっても、そして最後にどのような“どんでん返し”が待っていようとも、敵う相手ではない。観客はいつしか2種類の見所を別々に味見しているような気分にすら陥ってしまうかもしれない。これはある意味もったいなくもあり、またある意味、ふたりのカリスマ俳優の偉大さを改めて証明する結果とも言えるだろう。

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