« 『サイドウェイ』で、華麗なる負け犬文化を学ぶ。 | トップページ | 『ネバーランド』で、大人になる“痛み”を知る。 »

2005/09/13

『ブラザー・グリム』で、ギリアムの異端ぶりを確認

もう最初っから終わりまで特殊効果をそっちのけで暴走しまくる役者のバイタリティ&テリー・ギリアム仕込みの顔芸の数々に気分が高揚しっぱなし。

Broithers_grimm_2 

あのモンティ・パイソン時代のギリアムが狂人のごとくして見せていたあの表情!その後のギリアム作品でも『12モンキーズ』のブラピ→『ラスベガスをやっつけろ』のジョニデと受け継がれ、今度はマット・デイモン&ヒース・レジャーへ(ついでにジョン・タトゥーロにも伝染)。映画終わって自宅に帰って、こっそり鏡の前で練習してみたくもなるほどの素晴らしい表情だった。

このグリム兄弟が本物のモンスター退治に立ち上がるっていう類のストーリーは、ハリウッドのほかの監督であっても十分に映像化可能だと思う。しかし、たとえ同じストーリーであっても決してギリアムのようにはならないと断言できる。逆に言えば、ギリアムに任せたならば、ぜったいにマトモな作品にはならないということ。1ショット1ショットの本当に手を抜けばいいような簡単なシーンにいちいち乾いた小ギャグを入れていくサービス精神と、そんな彼からは想像できないくらいに芸術的なシーンとをフル回転で往復しつつ、しかも「想像力」VS「リアリズム」、そして現代世界が直面している「ファンタジー」VS「リアリズム」という対立構造をもおのずと実感させられる内容となっている。つまり、モンティ・パイソン時代からのゾクゾクするような冒険ファンタジーを受け継いだ良作。

ちなみに撮影中の洪水でテリー・ギリアムがメガホンを取っていた『ドン・キホーテの殺した男』の製作がストップしてしまったという悲劇に密着した『ロスト・イン・ラマンチャ』は、ギリアムが映画作りにかける破天荒だがとても情熱的な実直さのようなものをひしひしと伝えてくれる傑作ドキュメンタリー。『ラスベガスをやっつけろ』から『ブラザーズ・グリム』に至るまでに彼の身にどれほど大きな試練が待ち受けていたのかに触れることで、ファンタジーの作り手が直面するリアリズムとの闘いのようなものが浮き彫りになってくる。それはすなわち、『ブラザー・グリム』のテーマそのものでもあるような気さえするのだ。

|

« 『サイドウェイ』で、華麗なる負け犬文化を学ぶ。 | トップページ | 『ネバーランド』で、大人になる“痛み”を知る。 »

【生きるためのファンタジー】」カテゴリの記事

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/137483/5924177

この記事へのトラックバック一覧です: 『ブラザー・グリム』で、ギリアムの異端ぶりを確認:

« 『サイドウェイ』で、華麗なる負け犬文化を学ぶ。 | トップページ | 『ネバーランド』で、大人になる“痛み”を知る。 »