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2005/09/12

『茶の味』で、サブカル的田舎ライフを満喫すべし。

『鮫肌男と桃尻女』『PARTY7』の成功でこれまでの邦画になかったスタイリッシュな脱力系コメディを確立させてきた石井克人。久々の新作で彼は小津映画を思わせるような純・和風のタイトルを掲げ、豊かな自然に囲まれた日常を巧みに映像化。2004年のカンヌ国際映画祭・監督週間ではオープニング作品として好評を博し、韓国で開催されたプチョン国際ファンタスティック映画祭では審査員特別賞を受賞している。

山間の小さな町に住む春野家の人々は、春霞のようなモヤモヤを心に抱えている。長男の一(はじめ)は片思いの女の子が転校してしまった哀しみに打ちひしがれ、小学1年生の幸子はときどき現れる自分の巨大なドッペルゲンガーが早くきえてくれないかなぁ、と頭を悩ませる毎日。母の美子はアニメーターへの復帰をかけてキャラクター・ポーズの開発に余念がなく、父のノブオは個性溢れる面々に挟まれどこか居場所なさげ。彼らの悩みはきっと時間が解決してくれる。いつか心のモヤモヤが溶けてキレイな夕陽が差し込むその日まで、たゆたうような時間が彼らの毎日を不思議な味わいで包み込んでいく・・・。

はじめのうちはこの映画にどう踏み込んでいいのか分からず、笑いのポイントさえつかめずにいた。しかしエピソードを重ねるうちにその心配はなくなり、クセになるような独特の空気がそこかしこに充満していることに気付く。最初の砦は寺島進。すんごいモノを頭に乗っけた彼が呆然としてこちらを見つめる姿に、あなたは完全に“落ちる"か、あるいはこの作品を嫌いになるか、究極の決断を迫られるだろう。一方、我修院達也が最後に見せるエピソードは、かつてアニメータを目指していた石井の演出にも思わず力が入ったのか、こちらの涙腺が緩んでしまうほどの優しさがいっぱい。まったく我修院、今回もオイシイ役でイイとこ取り。もちろん、石井ワールドを深く知り尽くした浅野の存在感も欠かせない。

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