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2005/10/09

『オペラ座の怪人』の映画的豪華絢爛に酔う。

世界に名高い傑作ミュージカルが、その産みの親、ロイド=ウェバーの手により映画化された。実はこの構想は15年も前から温められ続けてきたのだそうで、キャスティングの問題などを含めてようやく実現に至ったその感慨といったら計り知れないものがある。この製作者の熱き想いを映像的な煌びやかさを加味してダイナミックに露わにしたのは監督のジョエル・シュマッカー。『セント・エルモス・ファイアー』(85)から『評決のとき』(96)、更には『9デイズ』(02)や『フォン・ブース』(02)といった作品群でも名高い、つまりはどんなジャンルでも引き受ける職人監督な彼だけに、その原作の高名性だけに縛られない、とにかく“盛りだくさん”な描写力で期待通りの充実感・満足感を堪能させてくれる。

ストーリーの鍵を握る“ファントム”には、ジェラード・バトラーによるダークで哀しげな歌声や立ち振る舞いと共に、シュマッカーが『バットマン』シリーズで獲得したスタイリッシュな演出が彷彿とさせられ、この監督の更なる奥深さを垣間見せられる。

前言を撤回するようだが、実はこの監督、とにかく多くの作品をリリースしてきた中には、それほど褒められたものでもない作品だってある。だが本来、映画製作とは予算と実際とのせめぎあい。彼だってこれまで数々の試みを苦渋の思いで断念してきたはずなのだ。その点、今回は違う。なにしろ製作者に力強い味方(オリジナルの生みの親)がいるのだから。とにかく「これでもか!」というほどの、決して妥協のない絢爛豪華な絵作りには目を見張るものがある。

もちろん、『デイ・アフター・トゥモロー』や『ミスティック・リバー』にも出演している主演女優、エミー・ロッサムの可憐な歌声も素晴らしいと、とりあえず書いておく一方で、脇役に徹しているミニ・ドライバーのパワフルでコミカルな脇役ぶりについても書き記しておきたい。惜しくもゴールデン・グローブ賞(助演部門)は逃したものの、有名俳優の憎まれ役ほど見ていて楽しいものはないのだし、それは演じている本人だって強く感じていたことに違いない。彼女にもぜひ注目していただきたい。

ひとつの芸術作品として観賞するのもいいが、早くも常識となりつつあるこのストーリーを知らない方にとっても、本作はきっと素晴らしい入門編となるはず。いや、なによりもまず、ロイド=ウェバーの目論みはきっとそこにあると思うのだ。

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