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2006/02/17

『君とボクの虹色の世界』

Me_and_you_and_everyone_we_know_3 

きっと、あなた、映画のタイトルでググって、それでこのブログ記事にたどり着かれたんでしょうな。というか、この映画のタイトルを知っている時点で、あなたは相当に感度の高い人間だとお見受けした。はっきりいって、僕はこの映画について語る言葉をあまり持たない。それでもあえて端的に言うならば、これは自分のこれまで触られたことさえない心の秘部を、こう、ガッシリと鷲づかみにしてくれた、そんな映画です。

というわけで、僕が試写した『君とボクの虹色の世界』(原題:ME AND YOU AND EVERYONE WE KNOW)という映画についてお話しさせていただきたい。

これは4月に渋谷シネ・アミューズで公開が予定されている新作。監督・主演はミランダ・ジュライ(MIRANDA JULY)というアーティストで、本作が長編初監督作となるんだとか。これがちょっと、僕にとって生涯大事にしたくなるような直球ど真ん中ムービーだった。もう晴天の昼日中から稲妻に打たれたような衝撃と感激とで頭の中がグチャグチャになりながら、案の定、上映中はボロボロと泣いてしまった。断っておくが、スクリーンでは本当にくだらない描写が続く。人間、こんなにくだらなくても泣けるもんなんだ。

もちろん仕掛けがある。どのチャプターにも、くだらなさをそれだけにとどめない創意と工夫がある。たとえ5歳児がネット上の誰かとヴァーチャル・セックスを決め込むシーンがあったとしても(マジあり)、それは文字から受ける変態性とはどこか異なり、いつも不思議な感動(ここではあえて書かない)で包まれているのだ。

「人生は余白でいっぱい」

そんなキャッチが頭の中に浮かんだ。人生の余白には、普段ならば取るに足らないとあっさり切り捨てられてしまいそうなエピソードがたくさん詰まっている。ここに綴られるのは、それらを大事に温めながら生きているとびきりイノセントな人たちの幸福でもある。

Meandyouandeveryoneweknow3

オープニング。とある男が妻に離婚を宣言される。哀れな男は幼い子供たちの気を惹こうと自ら手にガソリンを注ぎ、思い切り火を放つ。こんなときアルコールならば一瞬で火が消える。しかしガソリンってのはひたすら厄介だ。

「あれっ、ちょっ、これ、消えねえじゃん!」

男の手が燃える、燃える。まるで掌から炎を吐き出す奇術師と化した男がただのた打ち回る。自宅の芝生でただただのた打ち回る。

『ME AND YOU AND EVERYONE WE KNOW』

ここでタイトルが入る。そんなタイトル・バック。
なんて素敵な世界。ありがとう。
僕はもうここからボロ泣き。

Still_meandyou_2 

たとえば渋谷でキムタクなんかに遭遇すると100%以上の確率でドキドキするんだろうけれど、本当にいちばんドキドキする人は誰かと聞かれれば、「それをあえて聞きますか?」とほくそ笑んだあげくに僕は「…
志賀廣太郎さん」と答えるに決まっている(誰だってそうでしょ?)。

で、そんな“志賀さん的”作品、あ、いや、そうじゃなくって、多分このままだと数あるゴールデンウィーク公開作の中に埋もれて終わってしまいそうな映画がこの映画だったというわけだ。

というか、実は本作の試写の前に、渋谷で本当に志賀さんとすれ違ったのだ。今から考えるとそれはきっと本作と出会う前兆でもあったのかも。人生のうちで一度は遭遇したい人物、そして一度は遭遇したい映画にも恵まれて、僕の2006年にはもはや思い残すことはなかった。さあ、年越しの歌を歌おう。リンゴンと除夜の鐘を鳴らそう。ありがとう2006年。本当にありがとう…。

*************

2006年 


THE END

*************

本当にそんな気分にさせてくれる傑作です。この才能、日本からでもいち早くチェックしとかないと、後で必ず、とんでもなく化けますよ。

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ちなみに『君とボクの虹色の世界』は、このブログ筆者が2006年に観た映画の中でNO.1に掲げた映画でもあります。その記念としてさっそくDVDを購入。英語字幕はないながらも、ミランダ・ジュライ監督をはじめキャスト陣のインタビューも盛りだくさん。このメーカーは、さすがに本作を手に取るユーザーがそこら辺のハリウッド映画を手に取るときのような生半可な気持ちではないことをきちんと察してくれている模様。インタビューに答えるミランダの口からは、彼女が既に次回作の準備に取り掛かっているとの情報も語られます(それ以上の言及はありませんが)。さらには、透明感あふれるサントラも一度聴いたら耳から離れません。さっそくi-podにいれて街を練り歩くと、いつも見慣れた風景が少しだけ違って見えます。

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コメント

はじめまして。
本作は私もとても気に入りました。
終始おかしくて、でもせつなくて泣けました。
こういう映画に出逢えるととても嬉しいですー。

投稿: かえる | 2006/05/05 01:17

TBありがとうございます!
本当にこの映画は素晴らしくって、試写して2ヶ月ほど経ったいまでも鮮明に記憶に残っています。

世に出回る規模の大きな劇場映画は、いかようにも宣伝展開することが可能ですが、『君とボクの虹色の世界』はそれほど大きな作品というわけでもありませんし、このようにdouble face-dさんと僕とがTBで繋がったような、ほんのささやかな輪が拡がることで本作の口コミが浸透していくことは非常にスリリングなことでもあります。

公開は4月12日。それまで共に地道に応援していきましょう!

投稿: COWS | 2006/03/30 21:24

TBさせてください。
コチラの記事をよんで、ますます楽しみになりました、この作品。
とてもよいと友人達に聞いてはいましたが!
ついに日本でも公開でまちきれません。

投稿: double face-d | 2006/03/27 15:53

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