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2006/02/15

『ナルニア国物語 第1章 ライオンと魔女』 

ディズニーがこの春すべてのファンタジー大好きっ子たちに真心を込めて贈る超大作『ナルニア国物語』をようやく試写。

僕の周りはみんな目のキラキラした人ばかりで、多分「サンタ信じる?」とか聞いたら「うん!うん!」と首が取れるんじゃないかってくらいにブンブン頷き返してくる方々の宝庫だったことだろう。もう大盛況。30分前に試写場を訪れた僕でさえ補助席だった。どうやら先頭の人は1時間以上前から並んでいたらしく、もはやその方については魔法の力によって突き動かされていたとしか解釈しようがない。

で、明らかに面構えの邪悪な自分がいまこの場に座っていることに果たして正当性があるのかないのか悶々としていたものの、そんな僕でもいよいよ上映開始となると少なからずドキドキしてしまう。きゃっほう!おめえら、冒険の旅へ出発ざんすよ!

(しーん)

まあ、いい。実はちょっと内容に触れない程度でぜひ聞いてほしい場面があるのだ。

戦時下のロンドンから郊外へ疎開した4人の兄弟姉妹。「教授」と呼ばれる初老の男性の邸宅で厄介になる中で、末っ子のルーシーは大きな衣装箪笥を発見。膨大な衣装をかき分けて中へ入っていくと、彼女はあれよあれよと言う間に真っ白な雪景色へと放り出される。そう、箪笥の奥はナルニア国へと繋がっていたのだ。

ガス灯がぼうっとあたりを照らす。

そこに「タッタッタッ」と誰かの足音がこだまする。「誰っ!?」と振り返るルーシー。すると目の前に、ナルニア国で最初のキャラクターがおびえた表情で顔を出す。彼の名はタムナスといった。

僕は彼の佇まいに仰天した。

タムナスの下半身は馬。そして上半身はかろうじて人間でありながら、しかし裸に赤いマフラーのみを首に巻いているといった状態だった。

「変態じゃないか!」

半裸にマフラーのみ、といった格好が変態性に拍車をかけている。仮にふたりの立場が逆だったとしたらどうだったろう。衣装箪笥をたどってタムナスが人間の世界にやってくる。都会であればあるほど効果的だ。渋谷とかどうだろう。109の前あたりだ。時空を超えたタムナスはもうドキドキを抑えられない。衣装をかき分け、かき分け、そしていま、109の前に降り立った…

「即逮捕」

ナルニア国で通用することがこの人間界でも通用すると思ったならそれは大間違いだ。もしも彼が取りうる最善の策を講じるとすれば、それは「ドンキホーテで待機」くらいが妥当なところだろう。ドンキならばそういう類の珍客に事欠かなさそうだからだ。ちなみにこのときルーシーはというと、携帯の画面に夢中で、連行されていくタムナスになど気が付きさえしない。

そんな超大作。
しかもディズニー。

見逃せるわけがない。

***************

ちなみに『ナルニア国物語』は全7章、全史2555年にも及ぶ壮大なクロニクルである。もちろん各章の主人公は違い、『ロード・オブ・ザ・リング』の連続性とは一味違うものとなっている(『ロード~』の作者J.K.ローリングと『ナルニア』の作者C.S.ルイスは互いにファンタジー好きの研究者として旧知の間柄だった)。本作はドイツ軍によるロンドン大空襲を経て、4人の兄妹たちが田舎に住む「教授」と呼ばれる人の屋敷へ疎開させられる場面から物語をスタートさせる。奇しくもC.S.ルイスはオックスフォード大学の教授でもあり、戦時中は自らの屋敷で疎開してきた子供らの面倒を見ていた。この超大作は暇を持て余す彼らに語り聞かせる物語、という形で徐々に練り上げられてきたものらしい。そして、物語に登場する“教授”その人はおそらくC.S.ルイスの分身と考えてほぼ間違いなく、演じるジム・ブロードベントの優しいまなざしが物語を包み込むあたたかさを象徴しているかのようだ。

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