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2006/03/30

全速力海岸!!

友人のWEB日記で「こんな突風の中を全力疾走したら、気持ちがいいだろうなあ」という記述を見つけて、「彼らしいなあ」とちょっと笑ってしまった。生まれてからこのかた、暦(こよみ)や天気予報の告げる「春」なんてものがちっともピンと来なかった僕だけど、結局はその「なんだかとっても走り出したい気分」ってヤツが感覚的に春の到来を告げていることにようやく気がついた。どこまでが冬で、どこからが春かなんて、人それぞれの持つ“感覚的30センチ定規”で測ればすぐに事足りることなのだ。

そんな折、『サムライフィクション』(’98)、『ステレオフューチャー』(’00)、『RED SHADOW 赤影』(’01)、あ、あと「ピース」という言葉とテンガロハットがトレードマークになっている中野裕之監督が、インターネット上でこんなにもダイナミックで、爽やかで、クレイジーで、やっぱりピースフルなショートムービーを発表してしまった。

タイトルは、まさに直球、『全速力海岸』!

Dash

最近では、愛・地球博で上映されたショートムービー『RE:サイクル』や、現在大量オンエア中のドリカムが歌い踊る東芝の音楽ケイタイCMなどを手がけていて、長編映画からは距離を置いているようにも見えた中野監督だが、一方では自身の映像制作スタジオを完成させ、短編作品『アイロン』を撮り上げ、またそれとは別に8年前から温めている長編構想もあるらしい。恐らくこの2006年は、映画ファンの目にもその活躍が充分届けられることになるだろう。

まだ寒さの厳しい2月の九十九里浜で撮影されたという『全速力海岸』。配信元の「短編.jp」については前にも一度紹介したことがあるが、ここで発表される短編作品には、参加クリエイターの参加条件を揃えるべく、「撮影期間は1日」という規約が設けられている。もちろんその条件は名高き中野裕之を招聘したところで何ら変わりはない。むしろ本作は、出演の村上淳、森下能幸、綾野剛らの身体的な“勢い”も相俟って、この逆境を全く意識させない、極めて豪快なテイストとなって視聴者の全身を貫くことになる。

たった11分の作品だ。ここで多くは語るまい。ただ、本作を通じてまず最初に襲い来る衝動は・・・

「とにかく海に行きてえ!そして、千本ダッシュ!」

ガキの頃にあんなに苦痛だった部活動の走りこみも、今は不思議と気分爽快にこなせそうな気がする。映像のチカラとはかくも偉大なり。少なくとも僕にとっての「春」は、この『全速力海岸』と共に到来した。

遥かむかしに与えられたはずの生存本能が、声高に語りかけてくる。

「人間は、ダッシュする生き物である」

僕らはもっと、人目をはばからず、全力でダッシュしていいのかもしれない。

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