『フリーダム・ライターズ』
「300文字レビュー」とは、映画への想いをたった300文字に凝縮させる、とてもお手軽な文系スポーツ。というわけで、今回のお題は『フリーダム・ライターズ』です。
よくあるマンネリ感動ドラマとはちょっと違う。
生まれながら人種間の激しい対立に命を削ってきた生徒たちに対し、新米教師はいかなるビジョンを提示できるのか?という、一見、あまたあるケース・スタディ映画のひとつ。だがこれが異才を放つのは、その着地点がダンスでもなければスポーツでもなく、一冊の日記帳だったことにある。問題児から溢れる慟哭にも近い言葉の数々はリズムを宿し、ライムとなる。それが生徒と先生のエモーショナルな交錯を生み、やがて授業が人種差別の極地たるホロコーストの歴史を紐解き始めると、彼らの視野はグッと奥行きを増して世界を捉えるようになる。息苦しかった冒頭の混沌が今はなんと清々しいことか。世にはびこる絶望の病から踏み出す勇気をくれる一作。
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フリーダム・ライターズ
監督:リチャード・ラグラヴェネーズ(『マディソン群の橋』&『モンタナの風に抱かれて』脚本)
出演:ヒラリー・スワンク、パトリック・デンプシー、スコット・グレン
(2006年/アメリカ)UIP映画
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