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2007/08/09

ロバート・デ・ニーロ記者会見

グッド・シェパード』で13年ぶりにメガホンを取ったロバート・デ・ニーロが、東京ミッドタウンにて記者会見を行いました。

実は、あまり知られていないことですが、デ・ニーロは記者会見(&インタビュー)嫌い。もちろんプライベートな質問はいっさいNGだし、ちょっとでもトリッキーな質問を浴びせようものなら「…答えたくないな」と拒否してしまうこともよくあることだとか。どうやら、その演技力ほどには口の達者な人ではないらしく、そのネックを自ら理解しているだけにすっごくナーバスになっちゃうことがあるらしいんですね。またその一方で、海外での会見では意外とリラックスして突っ込んだ質問にも答えてくれるとの証言もあり…。まあ、とにかく、この日の会見がどうなったのか、ザッと質疑応答を並べてみました(短時間で書き起こしたので、読みにくい文章になっているかとは思いますが、どうかご勘弁のほどを)。

デ・ニーロ
「日本に来られてとても嬉しく思います。映画をご覧になった方は気に入っていただけたら嬉しいです。今日はこんなに集まっていただいて本当にありがとうございます」

質問
「『ブロンクス物語』に続く監督作に13年もの長い期間が空いたのはどうしてですか?」

デ・ニーロ
「『グッド・シェパード』の企画に関わり始めたのは8年前でした。あ…9年前だったかな。それから軌道に乗せるのにずいぶん時間を要しました。私は自ら監督するのに自分が興味を持てるものを撮りたかったし…映画を作ることはとてもエネルギーと時間が必要なのです。当時、私は同じようなCIAをテーマにした映画を準備中で、それは『グッド・シェパード』よりも後の時代のストーリーでした。それと平行して本作の脚本を読んだところこれが面白く出来ていて、執筆したエリック・ロスと直接会って『僕も同じような企画を温めてるんだけど、協力してくれないか?』と持ちかけると、彼は『僕はあなたの企画よりも自分で書いたものがやりたい。でも、もしあなたがこの『グッド・シェパード』を監督してくれるならば、僕はそれに続くあなたの企画を執筆してあげてもいい」と答え、それで私はとりあえず持ってた企画を横において、『グッド・シェパード』に取り組むことになったわけです」

質問
「そうそうたる俳優陣が出演していますが」

デ・ニーロ
「私にとってキャスティングはいちばん重要なものでした。その俳優が役にピッタリはまらなければ監督としての私の仕事も難しくなるわけですから。タイプではない人を渋々キャスティングするくらいならばその映画は作る価値はありません。たとえば、ジョン・タトゥーロが出演していますが、彼の役については私が最初に脚本を読んだ時から『これはタトゥーロしかない』と固まっていました。他の人など考えられなかった。けれど、彼はその頃、自分の母親の病が深刻な状況で、本作に出演できるかどうかギリギリまで分からなかったんです。それでも私たちは彼にこだわり、彼が出演しないシーンを先に撮ってしまって、彼のシーンは空けておいて彼に時間が生まれるのをただ待ちました。その後、残念なことに母親は亡くなってしまったのですが、彼はやがて意を決して、彼が立つべきシーンに立ってくれたのです」

質問
「映画の中に今日のアメリカが抱える問題が散りばめられていたと思うのですが、これはあなたの政治的な意志表示でもあるのでしょうか?そして最近、政府高官がCIAエージェントの実名をリークする事件がありましたが、映画への影響はありましたか?」

デ・ニーロ
「映画というものは監督の個人的な想いが投影されるものだと思います。この映画には「個人を取るか政府を取るか」といった葛藤や、ロシア側の態度であるとか、私が面白いと思ったものを、自分の考えはこうだと主張するよりも、むしろ観客が映画に入り込めるように正直に描くというのが私のやり方です。ですから、最近の事件や時代性といったものはあまり意識せずに、より普遍的で、人間社会の根底に訴える作品を心がけました」

質問
「俳優でもあるあなたが監督として俳優達にどのように接しましたか?また、カメラの前で演技するときと、カメラの手前で演出に徹するときは気分的にどう違いますか?」

デ・ニーロ
「私は俳優を長くやってきましたが、自分をさらけだすようなエモーショナルな場面を何度も何度も求められ、それをまた別の角度から…といった具合にとても辛く感じるときもあります。それに比べ、監督は椅子に座って指示するだけですから。でも、俳優は自分の出番が終わればそれでおしまいなのに対し、監督は撮影の後も編集やなんかの膨大な作業が待っているわけです。どっちもどっちですね。けれど私はこの監督という仕事が好きです。俳優を演出するのをとても楽しみました。『ブロンクス物語』のときにはアマチュアの子役を即興的に指導していたのですが、この映画はそうそうたるプロの俳優の俳優達が揃い踏みしていますから、こちらもそれにあわせた入念なプランを築いていくことに心血を注ぎました」

質問
「13年ぶりの監督作ということで、いちばんこだわった場面があれば教えてください」

デ・ニーロ
「うーん、もう1年半前のことなので…忘れてしまったな…あ、そうそう、タトゥーロの尋問の場面なんか印象的でしたね。まあ…すべての場面にこだわりました」

質問
「主演にマット・デイモンを起用した理由を教えてください。エリートの役にはエリートの俳優が必要だったのですか?」

デ・ニーロ
「そうですね(笑)。最初はこの役の候補に3、4人の俳優が上がっていました。中にはレオナルド・ディカプリオの名もありましたが、彼はとにかく忙しい俳優なので、彼を起用するとなるとしばらく待たなければいけなかった。残りの候補に名を連ねていたのがマットで、彼は格安のギャラにも関わらず期待通りの素晴らしい演技を披露してくれました。『ディパーテッド』の撮影の直後にも関わらず、引きずり込むように参加してくれたんです」

質問
「CIAはどれくらい協力してくれましたか?」

デ・ニーロ
「テクニカル・アドバイザーとして30年も在籍した人物を紹介してくれたり、そのほかにも頼めば何でも動いてくれて、非常に協力的でした」

この後、花束贈呈などが行われる中でふと飛び出した質問が「デ・ニーロ作品のオーディションに合格する秘訣とはなんですか?」というもの。これに対する彼の答えは、

「その人が無名の新人である場合、まず部屋に入ってくる時点で、使えるか使えないか、瞬間的に分かるんだ。でも実際に出演してもらったとして必ずしも成功するかどうかは保証はできないんだけどね」

普通の口八丁な監督ならば「俺が目を付けた俳優だから間違いない!」だとか、何かと大きなことを言いたがるものなんですが、デ・ニーロときたら本当に嘘が付けない性格のようで、どの発言につけても記者をあっと言わせるようなインパクトはなし。スクリーン上で入念な役作りを披露する彼と、いまこうして言葉に詰まりながらシャイな表情を覗かせる彼。その両方が紛れもないデ・ニーロ本人なんだな、と改めて感じた次第でした。

グッド・シェパード』は10月より全国ロードショー。

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