« 『王妃の紋章』 | トップページ | 『つぐない』 »

2008/04/12

チャン・イーモウ発言録

ちょっと前になりますが、3月21日の「NEWS23 金曜深夜便」にチャン・イーモウが出演していました。そこでの発言が最新作『王妃の紋章』のみならず、自身が開閉会式の総合演出を手がける北京オリンピックについても触れていてたいへん興味深いものでしたので、手元で書きなぐったメモを頼りに発言のいくつかをまとめてみたいと思います。

「中国では男尊女卑の歴史が続いてきました。その中で女性が反旗を翻そうとすると、待っているのは決まって悲劇でした。今でこそ北京などの大都市では男女平等が浸透していますが、地方ではまだまだ封建社会が残っています。私の作る映画はこれらの女性に向けた心からのエールということができるでしょう。」

「中国における経済発展は映画製作の規模を格段に大きくし、私の映画づくりも変化を余儀なくされてきました(ちなみに『王妃の紋章』の制作費は50億円)。しかし私が手がける大作映画はハリウッドの商業映画とは違います。私は大作にも芸術的な創意工夫が不可欠だと思っている。世界はいまどんどん小さくなっていて、すべてが似通ったものになってきている。そんな時こそ芸術には独自性が必要です。そう考えたときに、自分たちの民族の特色へと目がいくのは当然のこと。なにしろ私たちには5千年の歴史があるのですから。」

「もちろん中国でものづくりをするためにはある程度の妥協が必要です。わが国には検閲という制度がありますから。芸術家は何でも好きなように表現できるわけではない。芸術家にとって妥協はとても辛いものです。しかしそこであきらめては何も生まれません。なにか実現困難なものにぶつかったとき、自分にグッと負荷をかけて問題を粘り強く解決に向かわせる。これがもっとも大切なことなのです。」

「私はオリンピックを政治的なイベントとは考えていません。開閉会式の総合演出にあたって意識していることは、“本番は一度しかない”ということです。映画のように何度も撮り直すことはできない。本番で“絶対失敗しないもの”に仕上げていくということが私にとって最大の責務だと思っています。その中身は数万人の演者を動員するスケールの大きなものになりますが、大切なのは“規模”ではありません。質の高さです。質の高い表現を生み出せるのであれば、私にとって演者はたったひとりでも構わないのです。」

「私の映画作りの中心は今も昔も変わっていません。人間の原始的で本質的な感情を表現すること。ただそれだけです。大切なのは人間の心。それらの前では豪華絢爛な美術でさえ単なる舞台装置にしか過ぎないのです。」

|

« 『王妃の紋章』 | トップページ | 『つぐない』 »

映画・テレビ」カテゴリの記事

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/137483/40855684

この記事へのトラックバック一覧です: チャン・イーモウ発言録:

« 『王妃の紋章』 | トップページ | 『つぐない』 »