『シューテム・アップ』
クライヴ・オーウェンとポール・ジアマッティが正面対決する『シューテム・アップ』は、86分という短さながらあきれるくらいのアイディアが詰まったスナック感覚のアクション・ムービーだ。
やたら飛び交う銃弾、ダンス並みに無駄の多い身のこなし…まるで運動会の障害物競走のよう。ジアマッティのキレ具合は無邪気(?)な赤ちゃんプレイから冷酷無慈悲な悪ボスの表情にいたるまで触れ幅がかなりブッ飛んでいるし、極めつけはオーウェンの決めポーズだ。銃口にフッと息を吹きかけるルパン3世ならぬ、生のニンジンを先っぽからガリガリガリガリ!これって、いったいぜんたい、カッコいいんだか、悪いんだか。
どうやら新鋭マイケル・デイヴィス監督はジョン・ウーにオマージュを捧げているようだが、それは単なる売り文句でしかない。だってこの映画のオリジナリティはジョン・ウーとは違う次元でちゃんと独り立ちしているから。まあ、僕の中では「運動会ムービー」というジャンルに制定してもらいたいくらいなんですが。
で、いちばん奇妙なのは、どういうわけか銃撃戦のさなかに「銃規制」やら「銃器メーカー」などの銃社会アメリカにおける政治問題などが絡み合ってくることだ。これはアクション版『ボーリング・フォー・コロンバイン』なのか?そしてこの映画の主人公(クライヴ・オーウェン)にあえてキャッチをつけるとすれば、それは「弾をブッ放しながら銃規制を訴えるバカ」ってことになるだろうか。
もちろんポール・ジアマッティのファンにとっても彼の職業俳優としての魅力(やっつけ仕事?)に迫れること間違いなし。『サイドウェイ』『レディ・イン・ザ・ウォーター』以来、彼の新作を待ちわびていた方々、お待たせしました。絶賛公開中の『幻影師アイゼンハイム』とともに、ジアマッティ強化週間を心よりご堪能あれ。
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シューテム・アップ
監督:マイケル・デイヴィス
出演:クライヴ・オーウェン、モニカ・ベルッチ、ポール・ジアマッティ、
スティーブン・マクハッティ、グレッグ・ブライク
(2007年/アメリカ)ムービーアイ
5月31日、渋谷東急109シネマズ×ユナイテッド・シネマほか全国ロードショー
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