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2008/05/02

生ジャック・ニコルソンに感激

 人が多いところが苦手なので、普段は記者会見の類にまったく足を運ばないのですが、『最高の人生の見つけ方』のプロモーションでジャック・ニコルソンが来日するとあっては居ても立ってもいられず、六本木ヒルズ内のグランドハイアット東京まで乗り込んできました。

 普通、記者会見ってやつは主賓の会場到着が遅れたり、個別取材が押したりで、何かと開始時間が遅れがちなんですが、今回のジャック・ニコルソンに関してはなんとオン・タイム。一緒に登場するはずだったロブ・ライナー監督が飛行機トラブルで来日キャンセルになってしまったこと以外はすべて順調にスタート。

 そして、上手(ステージ右手)から現れるかと思いきや、あの男はステージ中央から現れた!

 真っ白いシャツにダークブラウンのジャケットを着こなし、サングラスごしにニッ!と笑う。その表情にはまるで少年のような無邪気さがあふれている…いやはやあまりに素敵な笑顔だ。素敵過ぎてある意味、冷徹非道なマフィアのボスのようでもある。4月22日に71歳になったばかりの彼にはそんな両極端のオーラが並存しているかのようだった。つまり映画どおりの異様な存在感ってことだ。

 開始早々、額に光る汗の粒。ちょっといいかな、と照明を落とすように指示。サングラスをはずしてハンカチで汗をぬぐいながら「こればっかりは苦手でね…」と映画の中では見られない生のジャックを見せてくれた。(この日の会見で彼がサングラスをはずしたのはこのときだけだった)

 で、もうひとつ判明した事実。これは今回の記者会見が時間通りに始まったこととも大きく関係するのだが、なんとジャック・ニコルソンは原則としてテレビの個別取材はいっさい受けないのだ。その理由は彼に言わせると極めて「職業的なもの」らしい。

 「テレビでいろいろと語ることで余計なイメージを与えたくないんだ。映画の中だけで判断してほしい」

 なのでこの日は「王様のブランチ」のLilicoさんやフジテレビの軽部さんがここぞとばかりにステージ上のジャックへ質問を投げかけていた。質問に答えてくれるチャンスはこのとき限りだったのだ。

 ということで、素顔のジャック・ニコルソンは職業俳優として明確なルールを持つ人らしい。「役作りでいちばん重要なことは?」という質問にも「やはり脚本を読んで分析すること」と即答。

 「これがいちばん重要だよ。これだけ長く俳優を続けていると、時にはいろいろ勉強が必要な役柄もあるけれど、重要なのはやっぱり脚本なんだ。脚本を読むと、そのキャラクターが自分に入り込んで息づいていく。それが潜在意識の中まで浸透することで、私はようやくそのキャラクターの人生を生きることができる」

 そんなこだわりもあってか、最新作『最高の人生の見つけ方』では脚本作りの段階から積極的に参加したんだとか。たまたま同じ病室の同居人となり、同じく突きつけられた「余命半年」を思い切り笑いながら生きていこうと決意するふたりの男の物語。共演のモーガン・フリーマンについても「私らが最もワイルドだった70年代からぜひ一度は共演したいと思っていた人物だった」とリスペクトを惜しまない。

 でもでも原題の“The Bucket List”がいったいどんな邦題へ姿を変えたのか気になっていたようで、ここで逆質問。“How to find the ~”と直訳されると「う~ん…」と頭を抱え込んだ。ここでいう“Bucket List”は、“死”を前向きに捉えるべく「棺おけに入る前にやり遂げたいこと」を箇条書きで列挙したリストのこと。主役のふたりはこのリストに従って、スカイダイビング、カーレース、ピラミッド登頂、最高の美女とキス・・・などなど、人生最大の挑戦に踏み出していく。

 「私も最初は聞きなれない言葉だなとは思っていたけれど、最近では政治家なども演説で使うくらいに一般的な言葉になってきた。黒沢明の『羅生門』がそのまま“RASHOMON”で通用するように、映画は原題のままがいちばんいいんじゃないかな。って言っても、私はプロモーションの担当者じゃないけどね」

 苦言を呈してはニッとまた笑う。この笑顔ですべてを和やかにする(冒頭で感じていた戦慄は今やどこへやら)。まあ、僕は『最高の人生の見つけ方』って邦題は、印象的なふたりの笑顔が大写しになったポスターカットも相俟ってかなり妥当な線いってると思いますけどね。

 最後のスチール撮影時、カメラマンのリクエストに応え、にこやかに手を振ったり、両手を広げてお辞儀をしたり、投げキスを決めてちょっとおどけてみたり。そして最後は取材陣の盛大な拍手に見送られながら、下手(ステージ左)ならぬステージ中央の真後ろに降壇していったジャック・ニコルソン。そうやって彼の後姿を強調しようとする演出だったのだろう。ジャックは優雅に背中を揺らしながら、ステージから消え行く直前、背後の取材陣に向かって右手を真横に突き出して、それからグッと親指を突きたてた。

 「万事快調!」

 後姿がそう語りかけてくるような、なんとも胸をすくラストシーンだった。

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最高の人生の見つけ方』は5月10日より丸の内ピカデリー2ほか全国公開

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