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2008/05/31

『TOKYO!<メルド>』

ミシェル・ゴンドリー!!レオス・カラックス!!ポン・ジュノ!!
世界を牽引する3人の映画作家たちが東京の街を舞台に独自のイマジネーションを炸裂させたオムニバス映画『
TOKYO!』。

今回はその中から、レオス・カラックスによる一篇<メルド>をレビューします。

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TOKYO!<メルド> by レオス・カラックス

 『ボーイ・ミーツ・ガール』『汚れた血』『ポンヌフの恋人』といった「アレックス三部作」、そして新境地を切り開いた『ポーラX』・・・

 それ以来、修行のごとく沈黙を貫いてきた孤高の映画人レオス・カラックスが「ミゾグチとゴジラの街で映画が撮れるなら」と9年ぶりに新作製作を決意。その結果、ついに生み出してしまったのが、この「メルド」だ。メルドとはフランス語で「糞」を表す。それはいったいどんな糞まみれな映画に仕上がったというのか?

 突如、日本人の誰もが知るテーマ曲が鳴り響き、マンホールから緑色の怪人が姿を現す。彼こそは東京の地下に住む下水道の怪人。誰が呼んだか、その名は「メルド」!まるでノートルダムの背むし男のような異様なたたずまいで、人間の考えうるあらゆる憎悪の対象を発露させながら銀座の町を悠然と闊歩していく。神出鬼没、意味不明、支離滅裂。その嫌がらせは次第にエスカレートし、東京の街は思いもかけない混沌に飲み込まれていく…。

 姿かたちこそまったく違うが「メルド」はその精神性の部分において「ゴジラ」と見事なまでに一致する。1950年代、日本人は戦後のあらゆる鬱積した感情を一度にぶちまけるかのように「ゴジラ」の誕生を祝福した。しかし、我々が現代において再び社会の浄化を願うとき、そこに「ゴジラ」はおらず、それに代わる新たな価値観すら生まれる気配がない。そんな中、あろうことか遥々フランスより根源的な災厄「メルド」が送りこまれてくるとは、なんたる皮肉。

 人びとよ瞠目せよ!メルドのお通りである!新たな地平は彼の後にこそ切り開かれる!

 怪人メルドを演じるのはドゥニ・ラヴァン。「アレックス」三部作において彼はカラックスの分身とも言われたが、ならばメルドも姿を変えたカラックスなのか。謎はますます深まるばかり。とにかくメルドは不条理の極地のようでいて、とてつもない精神性を秘めた傑作である。いま言えるのはただそれだけだ。

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TOKYO!』は以下の3話から成る1本のオムニバス映画です。

■<インテリア・デザイン> by ミシェル・ゴンドリー
■<メルド> by レオス・カラックス
■<シェイキング東京> by ポン・ジュノ

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●『TOKYO!』完成記念記者会見
●『TOKYO!<メルド>レオス・カラックス記者会見

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