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2008/06/30

『スピード・レーサー』

 『マトリックス』のウォシャウスキー兄弟による最新監督作『スピード・レーサー』。今回はモノクロームではなく極彩色の光源の中、やっぱり漫画みたいなカット割でレーシングカーを爆走させる。

 猛スピードで疾走中の車体を次々にシームレス(合成映像なのでワンカット撮影とは言えないが)で映し出し、いざレーサーの顔へとズームしたかと思うと、まるで時の流れが変幻自在であるかのように涼しげな表情がゆっくりとアップになってワイプのごとく真横へと流れていく。

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2008/06/29

『歩いても 歩いても』

 ドキュメンタリーとフィクションの境界に沁みだした、ほんのひと掬いの濃厚なリアリティをフィルムに納めてきた是枝裕和。ドキュメンタリー出身の彼にしか成し得なかったこのアプローチも、時と作品を経るごとにだんだん空気のようにフィルムとの親和率を高めていった。

 そして今回の『歩いても 歩いても』。その完成度といったら、ちょっと信じられない域にまで達している。

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2008/06/28

『告発のとき』

 アメリカがテロ攻撃を受けアフガン戦争、イラク戦争へと突き進んでいった時代、ポール・ハギスは分裂する世界の状況を『クラッシュ』に集約させ、ボロボロに傷ついた時代性を時に鋭く、時に溢れるような優しさで描きあげた。しかしそれはあくまで間接的な描写に過ぎなかった。

 あれから3年。ハギスが久しぶりとなる監督作『告発のとき』で描くのは“直接的”な傷痕だ。

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2008/06/27

ゴーブルディゴーク

すでに多くの方が耳にしていることと思うが、シガーロスの新曲「ゴーブルディゴーク」が凄いことになっている。この太古のリズムに触れただけで、軽々と夏が乗り越えられそうだ。

夏、来い!

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2008/06/16

『TOKYO!<インテリア・デザイン>』

ミシェル・ゴンドリー!!レオス・カラックス!!ポン・ジュノ!!
世界を牽引する3人の映画作家たちが東京の街を舞台に独自のイマジネーションを炸裂させたオムニバス映画『
TOKYO!』。

今回はその中から、ミシェル・ゴンドリーによる一篇<インテリア・デザイン>をレビューします。

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2008/06/10

『1978年、冬。』

300文字レビュー」とは、映画への想いをたった300文字に凝縮させる、とてもお手軽な文系スポーツ。というわけで、今回のお題は『1978年、冬。』です。

中国の田舎町に色づいていく、アヴァンギャルドな恋のカタチ

その頃、文化大革命が終わった。明るい兆しは見えつつも、まだ傷痕の残る時代、主人公の兄弟は都会からやってきた少女に恋をした。まだ幼い弟は彼女の踊る姿をスケッチし、工場をサボってばかりのダメ兄貴はひどく屈折した形でその想いを発露させる…。遠いけれど身近に感じる。そしてなぜだか、あったかい。突き放したようにドン引きのカメラが逆に30年前の記憶を繊細に語りかけてくる。いつしか本当の愛に気づく兄。口やかましくも愛情にあふれた母。朴訥な父。そして儚げな少女…個性あふれる人々の喜怒哀楽を乗せて今日も田舎町を汽車が行く。そこが中国であることを忘れ、自分の故郷に戻ったかのようなあまりに切ない郷愁体験。傑作です。

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*『1987年、冬。』は昨年の東京国際映画祭で審査員特別賞を受賞しました。そのときのブログ記事はこちら

1978年、冬。
監督:リー・チーシアン
出演:チャン・トンファン、リー・チエ、シェン・チアニー、
チャオ・ハイイエン、ヤン・シンピン
(2007年/日本=中国)ワコー、グアパグアポ

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2008/06/09

『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』

300文字レビュー」とは、映画への想いをたった300文字に凝縮させる、とてもお手軽な文系スポーツ。というわけで、今回のお題は『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』です。

インディ・アクションの7割は、観客の想像力で成り立っている

『最後の聖戦』から19年、ハリウッドの続編ブームに乗じてインディアナ・ジョーンズが帰ってきた!時代設定もきっちり3作目から19年後。米ソ対立の激化するさなか、秘宝“クリスタル・スカル”をめぐって平均年齢60歳強のチーム・インディがケイト・ブランシェット率いるソ連特殊部隊と猛チェイスを繰り広げる。ハリソンの還暦越えアクションはボディ・ダブルと編集技術で何とか面目を保っているものの、アイディアの面であと一歩、創造性に欠ける。でもその分、パロディは満載だし、若手シャイア・ラブーフはハマり役だし、更にはシリーズでお馴染み、あのヒロインが隠し球として大活躍。ファンにとってはまさに同窓会気分で楽しめる一作かと。(→長文レビュー

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インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国
監督:スティーブン・スピルバーグ
出演:ハリソン・フォード、ケイト・ブランシェット、カレン・アレン、
レイ・ウィンストン、ジョン・ハート、シャイア・ラブーフ
(2008年/アメリカ)パラマウントピクチャーズジャパン
6月21日(土)全国ロードショー
14日・15日先行公開決定

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2008/06/08

『イースタン・プロミス』

 クリスマス前のロンドン。華やぐ街の様子とは裏腹に、救急病院には深刻な案件が舞い込んでいた。妊娠した少女がすでに破水した状態で担ぎ込まれたのだ。英語を介さない彼女は出産後すぐに絶命。赤ん坊だけが残される。助産士のアンナは、彼女の日記を頼りに幼子の引き取り先を捜すが、そこにはロシアン・マフィアによる人身売買の恐るべき実態が記されていた…。

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2008/06/05

『小さな赤い花』

 幼稚園の頃、なわとびの達成度にあわせて花のワッペンがもらえた。お金や賞状といった成果報酬的な概念のない幼少期、その「がんばったで賞」的な“花”だけが僕の全てだった。

 中国第六世代の映画監督チャン・ユアンの新作『小さな赤い花』を観ながら、その頃の思い出がありありと蘇ってきた。



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2008/06/04

『シークレット・サンシャイン』

 教師、作家、そしてノ・ムヒョン政権下では文化観光部長官まで務めた韓国映画の巨匠、イ・チャンドン。彼の実に5年ぶりとなる新作『シークレット・サンシャイン』は、昨年のカンヌ国際映画祭でチョン・ドヨンが主演女優賞を獲得するなど最大級の賛辞でもって讃えられた。

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2008/06/02

『ぐるりのこと。』

 世界で絶賛された『ハッシュ!』以降、橋口亮輔監督の新作はなかなか届かなかった。その間、世間では通りを行き交う人の波のように次から次へと新しい映画が生まれ、藻屑のように消えていった。2年、3年が経ち、『ハッシュ!』の偉業もだんだん人びとの脳裏から消えていった。さらに4年、5年が経つと、橋口監督の名前すら忘れかけていた。

 そして運命の6年目…邦画界にとんでもない傑作が誕生してしまった。

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