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2008/07/03

『TOKYO!』記者会見

世界のトップ・クリエーター、ミシェル・ゴンドリー、レオス・カラックス、ポン・ジュノ。この3人が東京を舞台にそれぞれのイマジネーションの炸裂させたオムニバス・ムービーが『TOKYO!』(晩夏、シネマライズ、シネ・リーブル池袋にて世界先行ロードショー)だ。

8月16日からの公開を前に、記者会見が開かれました。出席者はポン・ジュノ監督、香川照之さん、蒼井優さん、藤谷文子さん、加瀬亮さん(以下、敬称略)。普段、会見のお知らせを頂いてもちっとも触手の動かない僕ではありますが、この『TOKYO!』の仕上がりに熱狂していることもあって、勢い勇んで行ってまいりました。

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■熱気あふれるポン・ジュノ組

 香川と蒼井は本作でポン・ジュノ監督が手がけるパート<シェイキング東京>に出演している。まずはそちらの話題から始めよう。

 『殺人の追憶』や『グエムル 漢江の怪物」で知られる奇才ポン・ジュノは、筋金入りの日本通として『リンダ リンダ リンダ』や『オールドボーイ』といった日韓交流ムービーの橋渡しも果たしてきたが、そんな彼だからこそ今回のプロジェクトについて「東京を舞台に映画を撮るというのは、初恋の人に手紙を書くような体験でした」と打ち明ける。

 キャスティングにもいっさい妥協を許さない。今回“10年間、自宅からいっさい出たことのない引きこもり”を演じる香川照之についても「西川美和監督の『ゆれる』を観て衝撃を受けました。日本人の俳優で“ひきこもり”を演じられるのはこの人しかいない!」と企画段階から心に決めていたという。

 ラブコールを受けた当人、香川はこう語る。

 「オファーを受けたときは驚きましたね。だって、“引きこもり役”だったら加瀬(亮)がいるじゃないか!と(笑)。日本でこの手の役をやらせたら彼の右に出るものはいないですよ。でもどうやら彼は他のパートに出演が決まってるようだったし、だったら俺がやるしかないか!と」

 この言葉に場内は大爆笑。
 同席した加瀬も、思わぬ自分の名前の登場に目を丸くさせて驚いていた。

 そうやって動き出した現場の雰囲気について、蒼井は「ポン・ジュノ監督と仕事ができるということで、日本人スタッフやキャストには特殊な緊張感というか、“熱”みたいなものが漂っていましたね。この一瞬一瞬を大切にしたいというみんなの気持ちが仕事へのこだわりにも現れていて、中には『照明、2時間待ち』って時もあったぐらいで」と振り返った。

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■ゴンドリー組はちょっと違う…?

 対する加瀬&藤谷はミシェル・ゴンドリーのパート<インテリア・デザイン>の参加組だ。

 今しがた語られたポン・ジュノ組の“熱い現場”のエピソードを受けて、「いやあ、うちらと全然違うんだなあって…」と顔を見合わせて笑う。

 彼らの目から見たゴンドリー監督はやっぱり変わった人間だったようだ。「だいたい今日も(せっかくの会見なのに)来てないですし(笑)」と切り出した加瀬の言葉にはゴンドリー組の特殊な雰囲気が垣間見える。

 「ちゃんと脚本があるんですが、現場に行ってみると監督がどんどん新しいアイディアを出してきて、それを通訳している側からまた別のアイディアがどんどん湧き出てくるという…もう通訳が追いつかない感じなんですね(笑)。それに一度なんか僕に『ジェームズ・ブラウンっぽくやってみて』なんて無茶な要求も…でも憎めない人ですよ(笑)」

 藤谷も現場の様子をこう振り返る。

 「気が付くとカメラが回っている現場でした。私たちはどこからどこまでがお芝居なのかだんだん境目が分からなくなってきて、ときには『カット!』の声がかかるまで即興で演技を繋いだりもしてました。ゴンドリー監督は何度も同じ演技を繰り返させるんですけど、そうすることでこちらも余分な緊張感が無くなって研ぎ澄まされていくんです」

 なるほど、さすがオリジナリティ溢れる世界観を確立している名匠の現場は一味ちがう。もちろんその唯一無二の空気は作品にも思いっきり結実しているのは言うまでもない。

 名匠たちの視線によって一枚、また一枚と剥がされていく大都市のベール。僕ら日本人が到底気づかない日本の、そして東京の姿がここにある。その先にはもはや地理学的な「東京」を超え、それぞれの胸の中で花開いた独自の「TOKYO」の姿が立ち表れてくるかのようだ。このTOKYOをめぐる旅は、彼らの冒険でもあり、そして僕ら観客の冒険でさえあるのかもしれない。

 ちなみに、今回の会見に同席できなかったレオス・カラックスによる<メルド!>も通常の頭では予想もできないような、とんでもない怪作に仕上がっているので、お見逃しなく!

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*『TOKYO!』は以下の3話から成る1本のオムニバス映画です。
8月16日より、シネマライズ、シネ・リーブル池袋にて世界先行ロードショー

■「インテリア・デザイン」 by ミシェル・ゴンドリー
■「メルド」 by レオス・カラックス

■「シェイキング東京」 by ポン・ジュノ

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●『TOKYO!<メルド>レオス・カラックス記者会見

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『TOKYO!』のエンディングテーマ曲を担当するのは、高橋幸宏、細野晴臣、坂本龍一によるユニットHASYMO。気になるその楽曲「TOKYO TOWN PAGES」は8月6日リリースのニューシングルに収録されています(NEWS23のオープニング曲“The City of Light”のカップリングです)。

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