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2008/08/08

Man on Wire

Image052 雨が降ったり止んだりと忙しく、とりあえずはいつも傘を持ち歩かずにいられないケンブリッジです。空を見上げるとウロコのような雲、雲、雲。その切れ目が訪れるごとに、あたりは瞬間的な快晴に包まれるわけです。天気予報もいろんなマークが出てきて大忙し。とりあえずは"scattered rain"という名称で間に合わせているようですが。

さて、こちらの有名ミニシアター「ピクチャーハウス」で8月1日封切りのドキュメンタリー映画"Man on Wire"を観ました。たしか、デンゼル・ワシントン主演、トニー・スコット監督作『マイ・ボディーガード』の原題は"Man on Fire"だったはずで、それとうまい具合に引っかけてるのでしょうか。

時は1974年、24歳のフランス人曲芸師フィリップ・プティ(Philippe Petit)がとんでもないことをやらかした。なんと完成したばかりのワールド・トレード・センターに忍び込んで、両タワーにピンと張られたロープの上を歩いて渡るという、かのモーゼもビックリの荒技を成し遂げたのです。しかも歩行途中には1350フィートの高さで空を仰ぎ、ロープにブランとぶら下がるという余裕も披露。もやの下から「あれは何だ!?」と指差す人々は、その焦点が定まると同時に息を呑む。声も出ない。何かこの世のものでない、フィクションの世界から迫り出してきたかのような超現実の風景がそこには広がっていた・・・。

もちろん騒ぎを聞きつけてすぐさま警察が出動し、彼は逮捕されてしまうわけだが、それでもいくら警察といえどもロープの上までは追って来れないわけで、彼は本当に優雅に、ほんの一服のコーヒータイムでも楽しむかのように上空でのひとときを堪能するわけです。

これがスチール写真や当時のニュース映像などで再現されるのだけど、本当に観ているだけで心が深遠な気持ちに被われてしまい、知らず知らずのうちに涙が零れてしまうほど、美しい。それも上空を歩く彼の姿だけでなく、彼を見つめて茫然とする目撃者の表情がまた素晴らしい・・・。

WTCの建設過程に合わせて主人公の幼少期を振り返ったり、パリやシドニーにて慣行した神出鬼没パフォーマンスを「前菜」として添えてみたり、そしてメインとなる世界最大の挑戦に向けて綿密なる計画を立て、奔走する彼と仲間達の姿を、リアルな証言と再現ドラマを交えて綴っています。

ラストに9.11テロに関する言及があるのかと思っていたら、僕の語学力が中途半端なせいでキャッチできずじまい(多分、なかったと思います)。まあ、あまり複雑な意味づけはせずに、その歴史的偉業(単なる人騒がせな愚行とも取れますが)をストレートに受け止める、観ているだけで気持ちのいい作品でした。

というわけで、こちらは強い日差しが照りつける中、大雨です。

宿舎の厨房で働く女の子が「シャワーだ!」と興奮しながら飛び出していき、さきほどから中庭で踊り続けています。

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