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2008/08/16

『TOKYO!<シェイキング東京>』

ミシェル・ゴンドリー!!レオス・カラックス!!ポン・ジュノ!!
世界を牽引する3人の映画作家たちが東京の街を舞台に独自のイマジネーションを炸裂させたオムニバス映画『
TOKYO!』がいよいよ8月16日より公開となる。

今回はその中から、ポン・ジュノによる一篇<シェイキング東京>をレビューします。

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TOKYO!<シェイキング東京> by ポン・ジュノ

 オムニバス映画『TOKYO!』の中のラストを飾るのは『グエムル 漢江の怪物』で名高い韓国人監督、ポン・ジュノ。『オールド・ボーイ』の原作となるコミックスをパク・チャヌク監督に紹介したり、女優ぺ・ドゥナを山下敦弘監督に引き合わせ『リンダ リンダ リンダ』のきっかけを作ったり、何かと日韓交流の立役者となってきた彼が、このTOKYOを舞台に映画を作ることは必然だったかもしれない。

 彼自身が「ラブレターを書くようだった」と語る本作<シェイキング東京>は、10年間もの長きに渡り引きこもりを続ける男のモノローグで情景が綴られていく。「整理整頓には自信がある」と語るこの男、トイレットペーパーから未使用の電灯、そして宅配ピザのケースにしたって1ミリのズレもなく、まるで消費文化の大壁のように整然と並べられている。締め切った窓からは薄明るい陽光が射し込んでいる。陽は東から昇り、西へ沈み、その動きにあわせて影が家中をぐるりと旋回する。この10年間、幾度も繰り返されてきた情景がそこには転がっている。それが彼にとっての日常。あのピザ宅配の少女と、大地震が同時にやってくるまでは…。

 タイトルから連想する大騒動とは裏腹に、ポン・ジュノはゴンドリー&カラックスが繰り広げてきた“動”とは違う“静”の世界観に徹してみせる。世界の誰にも心を閉ざした主人公の心理状況に飛び込んだ香川照之は、その表情にこれまでとはまったく違う“イノセント”な境地を垣間見せる。それはポン・ジュノ作品の常連ソン・ガンホが浮かべていた表情ともどこかで共通するものがあり、やはり演出家の吹き込んだ魔法が俳優の体内で見事に結実しているというほかない。

 興味深いことに、<インテリア・デザイン><メルド><シェイキング東京>は、TOKYOを“狭くて暗いアナグラのような場所”として表現する部分において共通している。

 そして<シェイキング東京>の主人公は、当のアナグラから意を決して飛び出そうとする。その瞬間の爆発を引き起こすかのようなエネルギーに圧倒される。彼が飛び出した先は、広く、光に溢れている。それが『TOKYO!』の最後に提示する“新たなワンダーランド・ビジョン”なのかもしれない。

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TOKYO!』は以下の3話から成る1本のオムニバス映画です。
8月16日より、シネマライズ、シネ・リーブル池袋にて世界先行ロードショー

■<インテリア・デザイン> by ミシェル・ゴンドリー
■<メルド> by レオス・カラックス

■<シェイキング東京> by ポン・ジュノ

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●『TOKYO!』完成記念記者会見
●『TOKYO!<メルド>レオス・カラックス記者会見

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