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2008/10/31

いる人、いない人

■映画祭の最終日、会場には行かなかった。前日から喉の痛みがひどくなっていたこともあり、クロージング・セレモニーはパソコン画面のネット中継で見守ることに。でも結果的にこれでよかったなと思う。もしも会場に足を運んでいたら、僕はひとりで大泣きして、係員に「あっちへいってくれ」と放り出されていたかもしれない■最初に「最優秀アジア映画賞」として『私のマーロンとブランド』のフセイン・マカベイが登壇したときには、その前日、僕の質問に真剣な眼差しで映画論を繰り広げていた彼の顔が、はじめてクシャクシャに綻ぶのを目の当たりにした。ああ、彼もあんな表情するんだ■壇上で彼は語った。「この受賞のおかげでトルコでの上映が実現できます」■そのコメントは、前日僕が聞き損ねていた質問への答えと、ちょうど重なった■日本映画「ある視点」部門のグランプリを獲得したのは、故・市川準監督のたった47分の遺作『buy a suit スーツを買う』。フィルムとはまったく違うHDカメラの触感が最初はぎこちなく、しかし徐々に観る者の心に沁み込んでくる不思議な作品だった■カメラがたくさんの日だまりを捉える。その照り返してくるまぶしさの中で関西弁がやさしく耳に響く■ふと、音信不通の兄を探してひとり上京してきた女性が、交差点の雑踏に飲み込まれていく。この他愛もないシーンに、どういうわけか自分が東京で母親と別れ、この大都会の真ん中でついにひとりぼっちになったときのことを思い出した■かつて取材させてもらったとき、市川監督はこう語った■「映画を撮るときのクセみたいなものですかね。どうしても人と繋がっていたい、と考えてしまうんですよ」■『buy a suit』はまばゆい光と共に、まさに全編、市川監督が「クセ」と呼ぶ温かい想いに満ちていた。しかしこの映画が暗転する直前、それは起こった。まるで市川監督の辞書に載ってない描写が想像力の向こうからポンと投げ込まれたかのように、それはあまりにも唐突に、すべての“繋がり”を断ち切ってしまった■生涯最期となるショットに、監督はいったいどんな想いを託したのだろう■その答えを聞きたくとも、市川監督はもうこの世に存在しない■と、そんなことを考えていると、いつしか審査委員長のジョン・ヴォイトが、グランプリを発表しよう若干厳粛な面持ちを浮かべていた■最初のフレーズが口をついて出た瞬間、結果は分かった■「トルパン!」■カメラが動く。彼らの姿を捉える■あとは、つい一昨日、同じ目線で言葉を交わしたばかりの3人組が壇上で大きな拍手に包まれるのを、ただただ涙ながらに観ているしか、僕には術がなかった。

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2008/10/30

『ブーリン家の姉妹』

ナタリー・ポートマンとスカーレット・ヨハンソンが姉妹役で共演する英国歴史劇『ブーリン家の姉妹』。

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脚本を手がけたのが『クィーン』『フロスト×ニクソン』などで名を馳せる俊英ピーター・モーガンというだけあり、よく知られた歴史の表舞台とその裏側のフィクショナルな部分がよく練り込まれ、つまりはこのふたつの要素の掛け合いこそが「歴史劇が現代に蘇る」という正当性を持つのだとあらためて思い知らされる。

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2008/10/28

全米ボックスオフィスOct.24-26

先週までの復習は各自こちらで行ってください。

【Oct.24-26 weekend】

01 High School Musical 3: Senior Year(-) 
02 Saw V(-)
03 Max Payne(↓)
04 Beverly Hills Chihuahua(↓)
05 Pride and Glory(-)
06 The Secret Life of Bees(↓)
07 W.(↓)
08 Eagle Eye(↓)
09 Body of Lies(↓)
10 Quarantine(↓)

ディズニーの高校生ミュージカル映画『ハイスクール・ミュージカル』シリーズの最新作がティーンのハートをガッツリ掴み、ここのところ落ち込んだ映画業界を光へ導く救世主ぶりを発揮。ハロウィンの風物詩として定着していた『ソウ』シリーズの最新作はこの勢いに負け、第2位発進。

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2008/10/26

『トルパン』インタビュー全文

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第21回東京国際映画祭において、東京サクラグランプリと最優秀監督賞のダブル受賞を果たしたカザフスタン映画『トルパン』。

その監督を務めたセルゲイ・ドヴォルツェヴォイさん、主演のアスハット・クチンチレコフさん、女優のサマル・エスリャーモヴァさんへの単独インタビューを、ここではあえて編集なしで全文掲載します。『トルパン』という映画と同じく、端からは無駄と受け取られそうな他愛もないやりとりの中にこそ、彼らのリアルな表情が見えてくるような気がするからです。

(ショート・バージョンはこちら

それでは始めましょう。

少しでも多くの方が『トルパン』にご興味を持っていたければと願ってます。

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映画祭雑記

■昨日までは映画祭一色だったはずの六本木ヒルズが、一夜明け土曜日になるとハロウィン色に変わっていた。どこからともなく『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』のテーマ曲が流れ、仮装した係員が、親子連れが、次々とアリーナへ集結してくる。トイレに入ると、そこでは男性数人がメイクに没頭し、ときどきマントを翻しては「フハハハ」と笑いながら「これでいいかな?」「もうちょっと理不尽な感じで」と最終チェックに余念がない。マントの下はまだトランクス。僕が「あ、ちょっと手を洗わせてくださーい」と分け入ると、「ごめいわくおかけしてます!」と彼らは丁重に頭を下げた。モンスター数人を従えた妖怪マスターか、俺は■映画祭事務局の方も言う「みんな渋谷に行っちゃいました」。昨日までは野戦病院のようだった事務局内部も今日は落ち着きを取り戻していた■午後から渋谷へ乗り込む。シアターコクーンでの上映は全席完売。オーチャードホールで行われる『男はつらいよ』と、余力次第で『デルス・ウザーラ』を観ることに。舞台挨拶で山田洋次監督がこう語った■「この寅さんシリーズが始まったのは、今からちょうど40年前。その頃の日本は高度成長期で、みんな働いてお金を稼ぐことに一生懸命になっていた。そんな時期にどういうわけか、この何の役にも立たない、遊んでばかりいる男が大人気を博したわけです。僕には当時の日本人が心のどこかで『このままじゃいけない』と思っていたのではなかろうか、と考えるわけです。そして40年経って、昨今のニュースを見ておりますと、いよいよそのつけが回ってきたような気がせずにはいられません」■さすが巨匠だ。この場所で、この映画を、このキャラクターを、見事に位置づけた■さらに拍手喝采だったのは『デルス・ウザーラ』上映後の野上照代さんのかくしゃくとした存在感だった。「黒澤組の生き残りです」と言って登場した彼女の、とりわけ次の言葉に会場が湧いた■「たぶん、映画祭のテーマがエコってことでこの映画が呼ばれたんでしょうけど、でもはっきり言って、黒澤さん、これ(『デルス・ウザーラ』のセット)ぜんぶ作っちゃってますからね。ぜんぶ人工!」■皮肉なことに、映画祭期間中、世界の関心はエコから経済問題へどんどん移行していった。しかし移りゆくものがあれば、そこに留まり続けるものもある。渥美清も黒澤明も亡きこの世の中で、人々が抱える諸問題を越えて、映画にまつわる精霊は、確かに、そこかしこに存在する。それこそハロウィンの「トリック・オア・トリート」ではなく、世界共通の映画言語で、いまだに語りかけてくるのだ。

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『私のマーロンとブランド』

東京国際映画祭のアジアの風部門に出品された『私のマーロンとブランド』は、ここ数年の興隆めざましいトルコ・インディーズ界から生まれた鮮烈な一本だ。

とある映画の撮影現場。
イラク版「スーパーマン」の主演として名高いクルド人(中年)俳優ハマ・アリと、イスタンブール出身の(ふとっちょ)女優アイチャが恋に落ちた。撮影が終わり、それぞれの祖国に帰っていくふたり。離ればなれになっても電話や手紙などで愛を確かめ合う期間が続くも、そんなさなか、アメリカによる容赦ないイラク攻撃が幕を開ける。繋がらなくなる電話。届かなくなる手紙。テレビでは空爆映像がリアルタイムで流れているのに、ふたりの実際の距離は、いま、こんなにも遠い。いつしかアイチャは我慢の限界に達する。もうジッとしてはいられない。彼女はハマ・アリの住むイラク北部を目指して命がけの危険な旅に踏み出していく・・・。

とストーリーを俯瞰してみると「なんとまあ、劇的な」と時代性を巻き込んだシチュエーションの妙に感心してしまうのだが、実はこれ、リアル・ストーリーだという。しかも正真正銘の本人が自分自身を演じている。つまり史実の追体験システムが始動した上での強烈なストーリーがここには生々しく横たわっているのだ。

監督を務めたのは、エルサレム、サラエボ、トライベッカと世界の映画祭で次々に受賞を重ねるクルド系トルコ人、フセイン・カラベイ(Huseyin Karabey)。

彼なら新時代における映画の真価を教えてくれるかも・・・。そんなことを夢想しながら取材申請の返事を待ち続けていたところ、映画祭7日目にしてカラベイ氏から承諾をいただきました。

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この人が作る映画は、おそらく次作品くらいで世界のトップレベルに切り込んでくるはず。この貴重な機会に話が聞けて本当によかった。

インタビュー全文を読む

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2008/10/25

『トルパン』3人組に取材

青年は、広大なステップの中を、嫁探しに奔走する。
いつか大地が楽園へ生まれ変わる日を夢見ながら。

東京国際映画祭コンペ部門に出品されている『トルパン』。

この映画にハートを鷲づかみされた身としては
どうしても直接逢って話を訊かずにはいられなかった。

というわけで、
カザフスタンからやってきた素敵でお茶目な3人組に
突撃取材を敢行いたしました。

いずれ全文掲載しますので、
今のところはこのショットだけでご容赦ください。

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左からセルゲイ・ドヴォルツェヴォイ(監督)、サマル・エスリャーモヴァ(女優)、アスハット・クチンチレコフ(男優)

ね、素敵な笑顔でしょ?

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2008/10/23

ホーム 我が家

東京国際映画祭のワールドシネマ部門に出品されているスイス映画『ホーム 我が家』。この和やかなタイトルに騙されてはいけない。ウルラス・メイヤーという71年生まれの女性監督が初めて挑んだ長編作のだが、これが凄い。何がって、発想が。そしてバイブレーションを細くも太くもずっと維持し続けてあらゆるシンプルなイベントへと接続させていく集中力が半端じゃない。

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2008/10/22

映画祭雑記

■午前10時半を回った頃、六本木ヒルズの長いエスカレーターを上がると、いつものように映画祭ボランティアの方々の元気な声が響いてくる。だが今日は少し様子が違った。あのでかいクモのモニュメントの下で、ひとり背の高い外国人が黙々とリーフレットを配布していたのだ。僕はそれをサッと受け取る。英会話学校の宣伝ではなかった。映画の宣伝だった。過ぎ去っていく僕の後ろ姿めがけて"This is my movie.It starts 13:50. "と声を投げかけてくれた彼。その温かみのある声につられて僕は思わず振り返って「サンキュー」と手を振った■今回の映画祭でコンペ部門に出品されている『プラネット・カルロス』。監督を務めたアンドレアス・カネンギーサーは、そんな律儀な人だった。僕はその律儀さにすっかり魅了され、その日の午後のマスコミ試写を全部キャンセルして、13:50からの彼の作品に臨むことにした■ドイツ出身の彼は公務員としてゴミ収集などの仕事に従事し、その後、紆余曲折を経て映画への想いが捨てられず、学校に入り直したという。その経歴からしてますます律儀だ■彼の映画作りもその律儀さが投影されている。ドイツを離れて1年間滞在したニカラグアで、彼は貧しいながらも逞しく生きる少年を被写体にほろ苦い人間ドラマを撮り上げた。才能はあってもそれがなかなか実を結ばない少年の話だ。間違っても「傑作!」とまではいかないが、それでも、この86分の上映時間を僕は愛おしく思ったし、彼が今朝ああしてクモの下に佇んでいなかったら、僕は生涯ニカラグアのことなど気にもとめずに生きていったかもしれない■上映後は、観客の質問にいちいち「ご質問、ありがとう」「ご指摘ありがとう」と感謝の言葉を欠かさない。ただただ律儀だ。かと思えば、彼は"poetry"を"poverty"と聞き間違え、真剣に貧困についての話を語っていた。司会者に「poetryですよ」と指摘されたときのあの「やっちゃった!」的な表情を僕は忘れない。とにかくカネンギーザーはとても律儀な男だった。これが律儀さを競うイベントなら、間違いなく彼がグランプリだ。

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TIFFの鑑賞記録

10月21日現在 17本

一本ずつ感想を書く時間が無いので、あくまで僕個人の満足度別に文字の大きさを変えてみました。

アンダー・ザ・ツリートルパンがんばればいいこともある行け行け!インド私のマジックムアラフ-改心私のマーロンとブランドbuy a suit スーツを買う少女ライダー些細なこと陽もまた昇るワンダフル・タウン40歳問題ホーム 我が家プラネット・カルロスぼくのおばあちゃんまばたき

『鬼が来た!』の鬼才チアン・ウェンの最新作『陽もまた昇る』の上映後は「この映画・・・理解不能!」という悲鳴にも近い声が上がりました。しかし多くの鑑賞者がこうも付け加えることでしょう。「しかし、なんか圧倒された!」。

*映画祭はゲストの登壇やQ&Aの盛り上がりなどで作品の評価が一変してしまうことが常です。上記のタイトルのほとんど全てがマスコミ試写(ゲスト不在)で観たものですので、そこんところ差し引いてご覧ください。

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2008/10/21

全米ボックスオフィスOct.17-19

先週までの復習は各自こちらで行ってください。

【Oct.17-19 weekend】

01 Max Payne(-) 
02 Beverly Hills Chihuahua(↓)
03 The Secret Life of Bees(-)
04 W.(-)
05 Eagle Eye(↓)
06 Body of Lies(↓)
07 Quarantine(↓)
08 Nick & Norah's Infinite Playlist(↓)
09 Sex Drive(-)
10 Nights in Rodanthe(↓)

分かってはいたものの、「W.」のビミョーな立ち位置は政治でも映画でも相変わらずのよう。オリバー・ストーン御大に言わせれば、きっと「僕の映画はヨーロッパ人好みなのさ」と批判を交わしちゃいそうですが、正直、大統領選を控えたアメリカ国民のハートを直撃することはなかったようです。というわけで、ボックスオフィスの結果を見ていきましょう。

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2008/10/19

映画祭、開幕

■今年も東京国際映画祭が始まりました。今年のテーマは「Action for Earth!」=「エコ」。この言葉はとても使い勝手がよいもので(ほぼ万能に近い)、つまり映画祭の規模縮小を「エコ」と称することも可能なわけで・・・とかなんとか。人間、痛いところを突こうと思えば、どれだけでもサディスティックになれる。けれどそれじゃあ先に進めない。その点では環境問題も映画祭も抱えている問題は同じだ。僕らは何かに積極的にコミットメントしていくことを学ばねば■というわけで、今年も映画祭を応援します■まずは「良い映画」「泣ける映画」といった基準を無造作に捨て去り、世界旅行にでも漕ぎ出すようなゆったりとした気分で新しい価値観をむさぼってみるのはいかがでしょう。もしもぶらっと六本木ヒルズor渋谷Bunkamuraに立ち寄る機会があったなら、映画祭ブースのボランティア・スタッフをソムリエやコンシェルジュに見立て、「いまの時間帯、面白そうな映画はありますか?」などと聞いてみるのも一興かも。っていうか僕は学生のとき、そうしてました。今みたいにネットで全ての情報が揃う時代じゃなかったしね■アメリカ主導の資本主義経済が音を立てて崩れ、世界中に無数の価値観が乱立する今、とにかく18日から26日までの期間だけは、数多くの類い希なる個性がこの東京で一同に会する。普段は日本の劇場でなかなかかからない一回きりの作品もたくさん上映される■私事で恐縮だが、先日、友人に「だいたい映画の代金って高すぎるんだよ!」と文句を言われた。なんで俺が?って想いながらも、一方で彼らにこう訊き返したくなった。「仮にその一本で世界が変わるとしても?」■夢物語と思うだろうか。しかしまがりなりにも「映画祭」と名付けられたこの催し物には、本当に「一本の映画で世界が変わる」と信じている輩が、世界中から大勢群れを成してやってくるのだ。その空気に浸っているだけでも、この暗い時代のなかで見えなくなっている物に光が差し始める。自分の意識深くに沈潜していた想いを掴み取り「これだ!」と叫ぶ勇気が湧き出でくる■映画祭で得た情報はここでもお伝えしていきたい。それでは出航の時間だ。すべての参加者の皆様の健闘を祈る。

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2008/10/17

『トルパン』

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10月18日から第21回東京国際映画祭が開幕する。試写できている作品はまだ数本だけだが、それにしても凄い作品に出逢ってしまった。かつて『少年、機関車に乗る』や『ルナ・パパ』などバフティヤル・フドイナザーロフ作品に魅了されたことがある人なら、まさに必見。コンペ部門に出品されるカザフスタン映画『トルパン』である。正式に言うと、ドイツ、スイス、カザフスタン、ロシア、ポーランドの合作映画だ。

*幸運にも監督&キャストにインタビューする機会に恵まれました。こちらに全文掲載してますので、ご興味おありの方はご覧ください。

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『ブロック・パーティー』

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2008/10/14

『WALL・E ウォーリー』

人類最初の男女がアダム&イヴならば、人類最後、いやこの地球上における“最後の存在”を、僕らはウォーリー&イヴと名づけよう。とは言っても、彼らはロボットなんだけれど。

WALL・E ウォーリー』は、地球の終わりから逆算して導き出された、新しいタイプの創世記と言えるだろう。

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2008/10/13

全米ボックスオフィスOct.10-12

先週までの復習は各自こちらで行ってください。

【Oct.10-12 weekend】

01 Beverly Hills Chihuahua(→)
02 Quarantine(-)
03 Body of Lies(-)
04 Eagle Eye(↓)
05 Nick and Norah's Infinite Playlist(↓)
06 The Express(-)
07 Nights in Rodanthe(↓)
08 Appaloosa(↓)
09 The Duchess(↑)
10 Fireproof(↓)

やはり強烈な時代性というものは映画の流行にも大きく作用するものらしい。全世界が深刻な金融危機に直面し、これといった打開策が見出せないでいる今、全米ボックスオフィスが出した結論は非常に端的なものでした。というわけで、今週も詳しく見ていきましょう。

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○×△の夢

あなたはこんな夢を体感したことはありますか?

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2008/10/07

緒形拳さん死去

夕刊を開くと、そこには「緒形拳、死去」の文字が。先日の市川準、ポール・ニューマンに続いての訃報に絶句しました。心よりご冥福をお祈り致します。

これまで書きためてきたレビューをあさってみたところ、緒形さんが主演し、モントリオール世界国際映画祭でグランプリを受賞した『長い散歩』のレビューが見つかりました。本当に素晴らしい映画でしたので、追悼の意を込めて、ここにもう一度リンクしておくことにします。

『長い散歩』レビュー

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2008/10/06

全米ボックスオフィスOct.3-5

先週までの復習は各自こちらで行ってください。

【Oct.3-5 weekend】

01 Beverly Hills Chihuahua(-)
02 Eagle Eye(↓)
03 Nick & Norah's Infinite Playlist(-)
04 Nights in Rodanthe(↓)
05 Appaloosa(↑)
06 Lakeview Terrace(↓)
07 Burn After Reading(↓)
08 Fireproof(↓)
09 An American Carol(-)
10 Religulous(-)

先週の鷲(イーグル)旋風に続き、今週は犬。しかもチワワが首位を奪うという、なにかとアニマルの攻勢が著しい全米ボックス・オフィス。12位までの興収総額は昨年の同時期に比べ40パーセントもアップしたという犬公方もさぞやご満悦なその中身、一緒に見ていきましょう。

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2008/10/04

『僕らのミライへ逆回転』

とにかく今度のミシェル・ゴンドリーは強大なポジティブ・パワーに満ちている。よく言えば繊細、悪く言えば内省的過ぎる心象風景を奇想天外なクラフト感覚に乗せて描いてきた彼が、『僕らのミライへ逆回転』では圧倒的な手応えでもって観客の心にグイグイ迫ってくる。これはほんの軽い気持ちで始まった悪ふざけが、いつしか街を飲み込むムーヴメントへと膨れあがっていく、ちょっと大袈裟に聞こえるかもしれないが、ずばり「映画の神話」とでも言うべき物語だ。

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魅惑のCF

■僕が子どもの頃、故郷の行きつけの映画館では上映の前にいつもローカルなCF(コマーシャル・フィルム)が流れていた。それはインド人が3人並んで「オマチシテマース!」と誘うインド料理店のものであったり、なぜか水着姿の女性が猛烈に浜辺をダッシュするだけという自動車学校のCFさえあった■田舎者の僕は、細胞レベルで、それがてっきり全国的なスタンダードと思いこんでいたらしい。だから東京の劇場で初めて映画に触れたときのショックは大きかった。だってあのインド人に会えないのだ。その居心地の悪さときたら、僕をどうにも落ち着かない気分にさせた。あのとき観たのは、たしか『クリムゾン・タイド』だったっけ■いまやシネコンと言う名の統一規格が全国にあふれ、儀式性のあるそれらの前戯もみるみる姿を消している■映画館にはそれにまつわる鮮烈な記憶がつきもの。アニメのキャラクターが注意事項を述べるような前戯に、今の子どもたちは鮮烈な儀式性を感じ得るかどうか。■4、5年前、帰郷した際、懐かしの映画館にたまらず足を踏み入れたことがある■僕は緊張しながら再会の瞬間を待った■音は飛び、色はかすれ、フィルムにはミミズのようなノイズがあふれていたが、あの3人のインド人は変わらず、そこにいた■あれから僕はいろんな人に出逢い、生き方や考え方、住む環境もずいぶんと変わったが、この場所で変わらず「オマチシテマース」と笑顔を浮かべる彼らを見て、自分もあの頃とまったく変わっていなかったことに気づいた。いつまでも劇場の座席でドキドキしながら座ってるガキなんだな、と■いま、あの料理店を訪れても、インド人が本当に待っていてくれるかなんて分からない。とっくに祖国に帰ったかもしれないし、亡くなっているかもしれない。あるいは撮影用の役者さんだった可能性も否めない■でも僕にとって、あれこそが最高のリアル。『僕らのミライへ逆回転』でジャック・ブラックが経験するのも、きっと同じ思いだったはずだ■そんなかけがえのない永遠の記憶をくれた故郷の劇場が、8月31日をもって閉館した■報に触れて初めて知ったが、開館したのは、僕が生まれた年だったそうだ。

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2008/10/03

『ゲット スマート』

300文字レビュー」とは、映画への想いをたった300文字に凝縮させる、とてもお手軽な文系スポーツ。というわけで、今回のお題は『ゲット スマート』です。

お下品ばかりがハリウッド・コメディじゃないんだぜ!

いまや全米で3本の指に入るコメディ俳優スティーブ・カレルが、爆笑スパイムービーに挑む!敵の攻撃で壊滅状態に陥った諜報組織「コントロール」。たまたま外で油を売っていて無事だった分析官スマートは、極度の人員不足のため、憧れのエージェントに抜擢される。相棒には『プラダを着た悪魔』から飛び出たような美人エージェントが就任し、彼らは颯爽とミッション遂行するはずだったが・・・。メル・ブルックスらが60年代に制作したTVシリーズを基に、どこか懐かしくもシュールな笑いが心地良し。当然、スパイ物には秘密道具がつきもので、研究開発員をあのマシ・オカが演じるのも見所のひとつ。彼自身が飛び道具的な魅力を放ち、大いに笑わせてくれる。

↓この記事が参考になったらクリックをお願いします。

ゲット スマート
監督:ピーター・シーガル
出演:スティーブ・カレル、アン・ハサウェイ、ドウェイン・ジョンソン
アラン・アーキン、テレンス・スタンプ、ジェームズ・カーン、マシ・オカ
(2008年/アメリカ)ワーナーブラザーズ映画

アメリカでは超一流のコメディ俳優なのに、なぜか日本では知名度が低いスティーヴ・カレル。個人的に『ゲット スマート』は2008年に観たコメディの中で3本の指に入ると確信しています。

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活字の記憶

■活字が苦手だ。幼い頃、親から本を買ってもらっても嬉々としているのはカバーをめくる瞬間だけ。あとは5行も続かぬうちに気がそぞろとなり、黙って文字を追うのが困難になってしまう■今でもその体質は変わらない。なので活字に触れるときはいつも尻のあたりをグッと緊張させたり、周囲に誰もいないときは小学生のように音読したりして茶を濁している■ハリウッドにも似た症状の人が大勢いると聞く。トム・クルーズの失読症は有名だし、オーランド・ブルーム、キーラ・ナイトレイも同症を公表済み。そして皆が揃って言う。「私は芸術に助けられた」■そんな活字の宝庫たる図書館に立ち寄ってみる。カウンターでは小学生の男子が大声で「ハリー・ポッターと死の秘宝」を予約していた。気になって検索機で同作の貸し出し状況を調べてみると、飛び出したのは「予約90件」の文字。驚異的なのは90人目に並んでまで読みたいとするその男子の根性だ。まともに待っていては彼はあっという間に変声期を迎え、やがて中学生になってしまうだろう。これでは「予約」とは名ばかりの、一種のタイムカプセルに等しい■用事が済んだので身支度を始めていると、今度は女子の声で「どうしたら図書館で働けますか?」との質問が聞こえてきた。就職希望の小学生らしい。「司書にもいろいろあってねぇ。私自身の経験ならお話できるんだけど」と心優しい司書さん。すると女子は答えた。「それでだいじょうぶです」■環境問題を先取りしすぎて笑われた災害映画『デイ・アフター・トモロー』では図書館が思わぬ避難場所と化す。暖を取るための燃料として、どんな本を、どんな順番で犠牲にしていくか。活字好きの人にとっては身を切るような、しかしなかなかスリリングなシミュレーションだろう■ゴダールの『アワー・ミュージック』では、サラエヴォに住む女子学生が兵士に撃たれて死ぬ。時限爆弾かと思われた大きなバッグの中には、その実、たくさんの本が詰まっていた■真実なのか虚構なのか分からない。しかしこの逸話に妙なリアリティを感じてしまうのは、僕が根っからの活字嫌いゆえ、逆に本の魔力を最大限に信じているからなのだろうか。

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2008/10/02

『トウキョウソナタ』

『CURE』『叫』で知られるホラーの名匠・黒沢清が、トウキョウの現在を舞台に、バラバラに零れ落ちていくひとつの家族の絶望と、やがて仄かに芽吹きはじめる希望とを描く。

今年のカンヌ国際映画祭では「ある視点」部門審査員賞を受賞。

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