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2008/10/13

全米ボックスオフィスOct.10-12

先週までの復習は各自こちらで行ってください。

【Oct.10-12 weekend】

01 Beverly Hills Chihuahua(→)
02 Quarantine(-)
03 Body of Lies(-)
04 Eagle Eye(↓)
05 Nick and Norah's Infinite Playlist(↓)
06 The Express(-)
07 Nights in Rodanthe(↓)
08 Appaloosa(↓)
09 The Duchess(↑)
10 Fireproof(↓)

やはり強烈な時代性というものは映画の流行にも大きく作用するものらしい。全世界が深刻な金融危機に直面し、これといった打開策が見出せないでいる今、全米ボックスオフィスが出した結論は非常に端的なものでした。というわけで、今週も詳しく見ていきましょう。

●最も注目を集めべき新作は、誰の目にも『ワールド・オブ・ライズ』(原題は"Body of Lies")と映っていたはずだった。しかし、現実がフィクションを凌駕して余りあるこの世知辛いご時世でボックスオフィスの頂点を制したのは・・・なんと、あのチワワ!ディズニーが送る"Biverly Hills Chihuahua"が2週連続でNO.1を獲得。新たにチケット売り上げ1,750万ドルを計上して、10日間の合計を早くも5,253万ドルにまで伸ばして業界関係者を驚かせている。これが金融危機におけるコメディの強さということか。さぞや劇場はファミリー層でいっぱいなのだろうと思いきや、AP通信が紹介しているディズニー関係者の談話によると、子連れではない夫婦客も数多く見受けられるのだとか。誰もが目の前の危機からのささやかな逃避を求めているようだ。

●『ワールド~』の名は2位にも登場しない。今週初登場2位にランクインしたのはスペイン国内で大ヒットを飛ばした『REC レック』のハリウッド・リメイク版"Quarantine"。ロスの街を守る消防士への密着取材を敢行した女性レポーターとTVクルーたち。その夜半に舞い込んだ「911」の出動要請に導かれ、消防士&取材陣はとある小さなアパートに足を踏み入れていく。いったいここで何が起こったのか?情報は錯綜し、あわてふためく住民たち。やがてカメラの前では、とんでもない事態が巻き起ころうとしていた・・・。『クローバーフィールド』や『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』と同じPOV(ポイント・オブ・ビュー)映画で、カメラはそのまま観客の目となり、かつてない恐怖を体感することとなる。『クローバー~』と違って「プロのカメラマンが撮ってる」という設定なので、カメラ酔いなどを心配する必要はなさそうだ(その意味では観客に優しい映画なのかもしれない)。3日間の売り上げは1,421万ドル。製作費が1200万ドルほどというから、これは上出来といえるだろう。ちなみに"Quarantine"とは“隔離”の意味。

●結果、ネームバリュー的には1位に君臨してもおかしくなかったラッセル・クロウ&レオナルド・ディカプリオ主演、リドリー・スコット監督作『ワールド・オブ・ライズ』は、初登場3位と低迷した。そもそもスコットと全米ボックスオフィスの関係はこれまでもあまり蜜月とは言い難いものだったが、今回は製作費7,000万ドルとも(一部ではその倍とも)言われる大作で、オープニング3日間の興行収入は1,288万ドルにとどまった。ディカプリオは中東で任務を遂行するCIAエージェントを演じ、地球規模の爆破テロを企てるテロリストの正体を突き止めようと執念を燃やす。そんな彼に命令をくだす上司役にラッセル・クロウ。安全な場所から指令を飛ばす態度に、常に死と隣り合わせにあるエージェントの疑心は募る。敵味方入り乱れての壮絶な騙し合いの果てにあるものは、一体・・・?

●ロイター通信によれば、ワーナー関係者は作品のクオリティの高さを自負していただけにこの成績に落胆しつつも、世間が金融危機に揺れる中で観客がこの“リアリズムを追求したサスペンス・アクション”を忌避してしまったことを敗因に挙げている。この構図、日本で『ポニョ』が当たって、『ダークナイト』が当たらなかった状況に似ているかもしれない。『ワールド・オブ・ライズ』の日本公開は12月20日。リドリー・スコット作品なのでハズレは無いはず!

●日本での公開を今週末に控えた『イーグル・アイ』は、新たに1,000万ドルを計上して累計7,040万ドルに伸ばした。製作費8,000万ドル突破まで、もうちょっと。

●"The Express"は6位発進。『ニューオリンズ・トライアル』などで評価されたゲイリ・フレダー監督による60年代を舞台にした実話に基づくアメフト映画。ひとりの黒人選手が当時の人種的逆境にさらされながらも、くじけずに立ち向かっていく物語だ。製作費3,800万ドルながら3日間の合計は456万ドルにしか満たなかった。こういう不屈の精神をアピールする映画が結局セールス的に負けてしまうと、なんだか居たたまれない気持ちになりますね。

●9位にはコスチューム物の英国貴族ドラマ"The Duchess"。因習や社会的規範や世間体に縛られることなく信念のままに常に大胆に生きた侯爵婦人をキーラ・ナイトレイが演じ、その夫役にレイフ・ファインズ。4週目にして127館から一気に10倍へと全米拡大公開され、先週の20位より一気にランクアップさせてきた。

●なお、当ブログで10位とお伝えしていた"City of Ember"は、"Fireproof"との接戦の結果、2万ドルほどの差によって11位に退いてしまいました(失礼しました)。映画の内容は、長らく繁栄を続けてきた地下都市エンバーに未曾有の危機が訪れ、そのピンチを救うべくティーンエイジャーが都市に秘められた謎に挑む冒険ファンタジー。ティム・ロビンスやビル・マーレイといった魅力的な共演陣で臨んだにもかかわらず、こちらも3,800万ドルという製作費の10分の1も回収できない、興収313万ドル。

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