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2009/01/29

『レイチェルの結婚』

 『羊たちの沈黙』という衝撃サスペンスから濃密なドキュメンタリーまで、数々の野心作、実験作を生み出してきたジョナサン・デミ監督が、なんと「結婚式」を描く。なので、もちろん一筋縄ではいかない。

 『レイチェルの結婚』はごく親しい出席者が集まり幸福感が高まっていく中、何気ない風景の中に謎を潜ませ、些細な描写の積み重ねによって心に傷を抱えた家族の姿を浮き彫りにしていく。そしてホームビデオ風に撮られた映像が「視点とは何か?」について深い洞察をもたらす作品でもある。

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2009/01/27

『ダウト~あるカトリック学校で~』

300文字レビュー」とは、映画への想いをたった300文字に凝縮させる、とてもお手軽な文系スポーツ。というわけで、今回のお題は『ダウト~あるカトリック学校で~』です。

疑惑(ダウト)と確信の果てに、新生アメリカの息吹がみえる

60年代、ニューヨーク・ブロンクスにあるカトリック学校。純真な新人シスター(エイミー・アダムス)はリベラルな神父(シーモア・ホフマン)と黒人生徒の関係をめぐり“ある疑惑”を抱く。報告を受けた厳格な校長(メリル・ストリープ)はすぐさま疑惑を確信し「断じて許せぬ!」と激怒。疑惑は本当?それとも・・・。トニー賞とピューリッツァー賞受賞の舞台を作者自身がこだわりの映画化。悩めるアダムスの無色透明な存在感の向こうで演技派のふたりが言葉の限りを尽くしてぶつかり合う様は、あまりに熾烈で身の毛がよだつ。しかしその対立は決して気の滅入る混沌には陥らず、その“嵐のあと”を静かに照らし出す。そんな不思議な魅力を秘めた見事なアンサンブルだ。

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ダウト~あるカトリック学校で~
監督:ジョン・パトリック・シャンリィ
出演:メリル・ストリープ、フィリップ・シーモア・ホフマン、エイミー・アダムス
(2008年/アメリカ)ウォルト ディズニー スタジオ モーション ピクチャーズ ジャパン

メリル・ストリープ、フィリップ・シーモア・ホフマンという2大俳優に全く引けを取らない透明感で観客を魅了するエイミー・アダムス。『魔法にかけられて』で脚光を浴びた彼女は、早くも本作でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされています。

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2009/01/26

『スラムドッグ$ミリオネア』

300文字レビュー」とは、映画への想いをたった300文字に凝縮させる、とてもお手軽な文系スポーツ。というわけで、今回のお題は『スラムドッグ$ミリオネア』です。

運命の神様を振り向かせた、圧倒的なインドパワーに酔え!

激烈に変わりゆく都市ムンバイ。そのスラム街で育ったジャマールは、いま全国民が見守る中「クイズ・ミリオネア」の回答席に座っている。しかも全問正解まであと1つ。“スラムドッグ”な彼が、どうやって・・・?その答えは人生の中に。貧困、犯罪、初恋、別離・・・生きるためなら何でもアリな毎日を全力で駆け抜ける、その随所に“答え”があった。さあ、走れ!生き残れ!愛する少女を取り戻せ!長らく冴えなかったボイル演出も今回は爆発的インドパワーと見事に調和し、『トレインスポッティング』以来となる唯一無二の“答え”を見つけ出す。そしてエンディングには群衆ダンス!これぞインド!世界級エンタテインメントに目眩さえ覚える、全力疾走、汗だく、大興奮の120分だ。

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スラムドッグ$ミリオネア
監督:ダニー・ボイル
出演:デーヴ・パテル、アニル・カプール、イルファーン・カーン、
マドゥル・ミッタル、フリーダ・ピント
(2008年/イギリス)ギャガ・コミュニケーションズ

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全米ボックスオフィスJan.23-25

新大統領の就任式、アカデミー賞のノミネート発表と、ビッグイベントの目白押しだった先週。映画ファンも神妙な面持ちで劇場へ足を運んでいると思いきや、フタを開けたボックスオフィスにはどういうわけか、またもやあの作品が・・・。

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2009/01/22

『007/慰めの報酬』

 冒頭から鮮烈だ。ただ静かに始まる。静かにカメラが寄っていく。すると山間部を走る車体が目にとまる。速い、激走している・・・と気づくや否や、スクリーンは爆音に見舞われ、怒濤のカーチェイスが雪崩れ込んでくる。誰が?何のために?とにかく激烈にぶつかり合い、後ろから追いすがった車体は、スピンして大破していく。そしてトンネル内でのクラッシュに次ぐクラッシュ。明らかにあの映画のクライマックスを意識した作り。そう、『ボーン・スプレマシー』だ。「以下、本作ではアクション文法をこのように定義する!」と言わんばかりに、『007/ダイ・アナザー・デイ』氷上チェイスとは似ても似つかぬ肉弾戦が繰り広げられていく・・・。

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2009/01/19

全米ボックスオフィスJan.16-18

毎年、1月の第3月曜日は「キング牧師記念日」として多くの州が休日を迎えるアメリカ。そして20日にバラク・オバマ新大統領の就任式を控えて、すべての国民が未来を見つめ、深遠な気持ちを抱いているであろうアメリカ。
そんな国民の心境を見事に投影するかのように、ボックスオフィスもこのような答えを導き出しました・・・

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2009/01/12

『チェ 28歳の革命』

 チェ・ゲバラことエルネスト・ゲバラ・デ・ラ・セルナの歩んだ劇的な人生、感動の大河ドラマに触れられると劇場へ足を運んだ人たちは意表を突かれることだろう。というのも『チェ 28歳の革命』はゲバラについて何も知らない人が軽々しく接続するのを阻む作りを成しているからだ。

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全米ボックスオフィスJan.09-11

アカデミー賞の前哨戦「ゴールデングローブ賞」は、ドラマ部門に『スラムドッグ$ミリオネア』を、ミュージカル・コメディ部門に『それでも恋するバルセロナ』をそれぞれ作品賞として選出して幕を閉じた。結局、大注目の『スラムドッグ~』は作品、監督、脚本、作曲賞の4冠。故ヒース・レジャーは『ダークナイト』で助演男優賞を、ケイト・ウィンスレットは『レボリューショナリー・ロード』(主演女優賞)と『愛を読む人』(助演女優賞)で2冠を手にした。

・・・こんな華やかな場を前にすると影が薄くなりがちなボックスオフィス。

新作三昧のこちらでは、悪天候にもかかわらず、あの大御所の最新作が頂点を制した模様です。

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2009/01/09

『クローンは故郷をめざす』

 ちょっと異様な映画が出現。サンダンス・NHK国際映像作家賞(脚本コンペ)を受賞し、巨匠ヴィム・ヴェンダースが自らエグゼクティブ・プロデューサーを買って出たという『クローンは故郷をめざす』だ。まさに息をするのも、まばたきすることさえも許されない。そんな幻想的、かつ世にも美しい近未来SFが、ここに産声を上げた。

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2009/01/05

アレックス・コックス監督インタビュー

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かつて西部劇の撮影現場でトラウマを受けた子役たち。 彼らがすっかりオッサンとなった今、憎き脚本家を追いかけて、世にも壮絶(?)な復讐劇の幕が切って落とされる!

古きよき時代の西部劇にオマージュを捧げつつ、9.11以降の暴走するアメリカをオフビートな笑いと共に描いた『サーチャーズ2.0』がいよいよ1月10日に公開を迎える。

『レポマン』『シド・アンド・ナンシー』を代表格に、時代のエッジに立ってパンク精神を発揮しつづけるインディペンデント映画の鬼才、アレックス・コックス監督に話を訊いてきました。

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全米ボックスオフィスJan.02-04

ボックスオフィスからもハッピーニューイヤー。
新年一発目の晴れあるランキングは
新作なしの、しかも7作品が不動のまま。
いまや1億ドルの「お犬さま」となったマーレーの天下は
いったいいつまで続くのか?

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2009/01/03

『永遠のこどもたち』

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 商品価値、信頼関係、あらゆるものがバブルに思えてしまいがちな金融神話崩壊後の世界情勢で、「スティーブン・スピルバーグ総指揮!」や「タランティーノ・プレゼンツ」という売り文句がどれほど映画ファンへの訴求力を発揮するのか皆目分からないことになっている。彼らには製作ではなく監督を担ってもらいたい。単純な消費者心理でいくとそれが本音ってものだ。

 では『永遠のこどもたち』はどうか。『パンズ・ラビリンス』『ヘルボーイ』のギレルモ・デルトロが製作総指揮だからといって、あの唯一無二のデルトロ色を期待して劇場に足を運ぶのも筋違いな感じがする。結局僕らはこの映画の、一見、神秘性さえ漂わせたポスター・アートに、ファンタジーなのかホラーなのかその線引きが難しいところの「いわゆるデルトロっぽさ」を感じながら、作品世界の内側へと深く深くいざなわれていくこととなる。

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