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2009/07/18

UK映画産業の増収

不景気にもかかわらず安定した増収が続く英国の映画産業。その好調の理由とは?そして今後の問題点は?

http://www.guardian.co.uk/uk/2009/jul/16/british-film-industry-bumper-year

UK Film Councilにて2008年の統計結果が発表されたことを受け、ガーディアンがその概観を報じている。

結論からいうと、英国の映画業界は世の中の不景気にもかかわらず好調な数字をキープしている。『マンマ・ミーア!』『007/慰めの報酬』『ダークナイト』をはじめとする英国(の製作会社が参加した)映画は世界の興行収入における15パーセントを占め、その収益は前年度よりも10億ドル増加し、42億ドル(26億ポンド)を記録した。

ちなみに2008年の英国興行収入トップ3も『マンマ・ミーア!』『007/慰めの報酬』『ダークナイト』の順。6か月にわたるロングランで6,900万ポンドを売り上げた『マンマ・ミーア!』は、『タイタニック』のもつ記録(6,903万ポンド)を越えて、英国歴代興行収入NO.1となった。

国内における観客動員数も順調に増加しており、この産業が不況期に強いことが改めて浮き彫りになった。

その傾向は『ハリー・ポッターと死の秘宝』などに代表される英・米が手を組んだブロックバスター・ムービーの製作により2009年以降も継続することが期待されている。2009年も半分が終わった時点で、英国内ではトータル5億3,500万ポンドの製作費が計上済み。これは作品の同時期の3億6,300万ドルに比べても破格の高さだ。

しかしながら問題点もある。上記のように「合作」としては絶好調な英国映画なのだが、純粋な100パーセント英国映画に目を向けると、ヒットしたと言える作品が20本中たった1本しか存在しなかったという。

ビッグバジェット、ビッグネームの起用、世界配給と3拍子揃った大作は、劇場公開→DVD→TV放送と約2年間にわたって息の長い利益をもたらす。普通ならばこの方程式をハイリスク、ハイリターンと呼びたいところだが、英国映画の場合、『ハリー・ポッター』や『007』といった人気ブランドによる確かな固定客の存在も忘れてはいけない。

リニューアルに成功した『007』は今後も末永く人気を獲得し続けることが予測されるが、一方『ハリー・ポッター』シリーズのように、2011年で終了してしまうことを運命づけられたものもある。はたしてボックスオフィスの魔法は他の作品へと受け継がれていくだろうか。今後「0」から「1」を創り出すことに注目の集まる時期が、そう遠からず訪れそうだ。

なお、192ページにわたる"Stastical Yearbook 09"は、UK Film Councilのウェブ上で簡単にダウンロードできます。映画産業を研究される方はぜひご活用のほどを。

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2008年、英国興行収入NO.1とNO.2です。インディペンデント部門では『ある公爵夫人の生涯』、外国語映画部門では『永遠のこどもたち』がそれぞれNO.1でした。

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