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2009/09/15

Auschwitz3~バリツェ・エキスプレス~

ヨハネ・パウロ2世・クラクフ・バリツェ国際空港に機体が降り立つと、シートベルト着用サインが消えない内から皆が「せーの!」で一斉に立ち上がる。我先にと荷物を抱え、一本しかない機内の通路を埋め尽くすのである。すっかり出遅れた僕は「いちばん最後に降りようかな」くらいのノンビリした態度で身構えていたのだが、ここで僕はまず最初のビックリに直面することとなる。

というのも、機の扉がついぞ開かれるや、さきほどまでの通路のカオスは一変。前方の乗客からきれいに一列ずつ速やかに降りていき、後方の乗客はそれを辛抱強く待ってくれるのである。最初はこれがイージージェットの決まりごとなのかと思ったが、帰りのロンドン行きではこんな具合にはいかなかった。これはポーランドのお国柄なのか。元社会主義国の片鱗みたいなものを感じドキッとすると同時に、なんだかあったかい国のような気がして、この国に足を踏み入れることが嬉しくなった。

入国審査。いきなりポーランド語の洗礼である。アルファベットからニョロニョロと髭の生えたような文字が入国者の行き先を提示し、その真下に英語での表示。とりあえず流れから外れて自分がどの列に加わるべきか観察する。列は二つ。「EU」国民か「その他」か。現在、ポーランドと他のEU諸国との間ではシェンゲン協定というものが結ばれ、入国の条件が一本化されている。なので「EU」側に並んだ人は順番待ちも短くすんなりとハンコを押してもらえるはずである。しかし何しろ人数が多い。一方「その他」にはアジア人の僕とあと白人男女が数人だけ。「目的は?」「日数は?」といろいろ質問されはするものの、難なく通過することができた。イギリスのように「Next!」と急かされるようなこともない。

「arrival」のドアを抜けると、世界の色が違って見えた。どこか褐色っぽいというか。屋内の照明よりも窓から注ぎ込む日光の明度が高いのである。再会を喜んだり抱き合ったりする感動的な人たちの波を器用にかわしながら、次に何をすべきか懸命に考えてみる。ポーランド通貨(ズロチ)への両替は成田で済ませてきたし(日本では成田エキスプレス改札出てすぐの両替所でのみ取り扱いあり)、トイレも済ませたし、あとは…列車、そう、列車である。

まずは空港から街の中心まで移動しなければ何も始まらない。

てっきり空港館内から直結していると思っていた列車駅は、歩いて5分くらいの場所にあった。しかしそこには何の駅舎もなかった。3、4両編成ほどのバリツェ・エキスプレスと呼ばれる列車は日ざらしの状態で止まっていた。僕は最初これが斬新な待ち合い所かなにかかと思いこみ、列車であると認識できるまでにしばらく時間がかかった。しかも列車ホームの反対側には唐突にバスが入ってくる。ホーム(Bay)の右と左に、エキスプレスとバスとが並列状態で停まっているのである。なんだかとんでもない方程式を解かされているような気がして僕は思わず笑ってしまった。

切符の販売機も見当たらない。ホームにたたずむ制服&ヒゲのオジサンに「切符はどこで買えばええの?」と聞くと、親指を自分の方に向けて「俺だよ、俺」と返す。それじゃあ買うよ、いくら?と財布を取り出すと、「いや、あとから俺が客席を回ってくるんだ」ということを確かポーランド語で言われたと思う。どうして僕は彼の言うことを理解できたんだろう。いまだに不思議でならない。たぶんこの場所で、他にもたくさんの人がまったく同じ不思議を体験しているはずだ。

「ぢんくえん」

ポーランド語で「ありがとう」の意味。英語のように滑舌よく発音するのではなく、どこか臼で粉をひいて湿り気を加えたようなネチャッとした響きがある。はて、どこかで耳にしたことのあるような…

これが自分の母国語と似ていることに気がついたのは、アウシュビッツで炎天下に照らされ朦朧と立ち尽くしている時だった。

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