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2009/10/02

Auschwitz6

英語ツアーの開始は13時半。胸に小さなワッペンを貼り、先ほど僕が止められた入場口を通り抜ける。貸与されたヘッドフォンの周波数チャンネルを合わせると、"Can you hear me?"と男性の声が語りかけてきた。声の主は誰か?いつの間にか参加者の前にはサングラスの人物が姿を現していた。どうやら彼が僕らのガイドということらしい。

時にツアーは20人規模の大人数に膨れ上がり、建物内ではその人数が一列で直進しなくてはならなくてはいけない場所もある。ふと気がつくと、自分が先頭から50メートルくらい遅れをとってしまっていたり。このヘッドフォンは、いつどこにいようともガイドの音声が耳に届くように、という配慮である。

彼がこのとき何と名乗ったのか、とうに忘れてしまったが、彼の英語に少しだけイタリア語訛りが含まれていたことは覚えている。彼はこれまでに何百回、何千回、ツアーを引率してきたことだろう。ノドがかすれて、時おり「ン!ンン・・ン!」と調子のでない喉に無理やり気合いを入れているようだった。

「それでは参りましょう」

一同は歩きだした。見学者がまず訪れる場所、それは誰もが一度は目にしたり耳にしたことのある「門」である。

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そこにはドイツ語でこう記されている。

「ARBEIT MACHT FREI」

日本語では「労働は自由への道」と訳されることが多いようだ。はっきりと文字を撮影したかったのだけれど、なにしろこの人数である。

写真では判読しにくいが、「B」の文字が上下さかさまになっている。これは一説によると、この取り付け作業を命じられた収容者が精一杯の反抗としてこう仕組んだのではないかと言われている。しかしこれがそのままの形で現在に受け継がれているということは、ナチスの誰もがこれに気付かなかったということになる。誰にも意志の届かない反抗ほど哀しいものはない。これは反抗の記憶であり、無関心の象徴とも言えるのかもしれない。

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人の波に揉まれながら、門を通過します。

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門の右側には芝生が広がっていた。何本も煙突の並ぶ建物はかつての調理棟。

アウシュヴィッツの収容者たちは毎朝隊列を組んでこの門から強制労働に駆り出されていった。門の脇では、音楽家の収容者が楽器を演奏し、収容者たちの歩調を整えさせていたという。

*アウシュヴィッツ博物館には中谷さんという日本人ガイドがいらっしゃいます。「地球の歩き方」のポーランド編には中谷さんのメールアドレスも掲載してあるので、日本語ガイドをお願いしたい際には是非連絡を取られてみてください。

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