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2009/10/17

『ロード、ムービー』TIFF

300文字レビュー」とは、映画への想いをたった300文字に凝縮させる、お手軽な文系スポーツ。今回のお題はTIFF(東京国際映画祭)のコンペ作品『ロード、ムービー』です。

おんぼろトラックに乗り込んで青年は砂漠をノロノロ走る。荷台には父親から受け継いだ頭髪オイル2箱と、年代物の映写機。途中“スタバ”で少年が同乗し、次に老人、さらにはロマの女性までもが仲間入り。あてどない珍道中は続いていく…。ところどころの煮え切らなさに目をつむっても、定番の 巡回上映シーンには思わず胸が熱くなる。荒野に映える真白なスクリーン。光の魔法に見入る村人たち。いまだ人間に純粋という概念があるならば、それはスクリーンを見ているときの表情にこそ尽きる。そう信じられるほど本作は僕らに映画の原体験を追想させてくれる。なお、キス&ヒロインの胸ポチもあり、インドでは上映不可能。国外での公開を目指すようだ。

*****
映画人の中には作品作りを旅に例える人が多い。準備段階から長い旅路を歩み、ときに水筒も涸れ、意識が朦朧としながらも、それでも彼らは歩むことをやめない。その意味で読むと『ロード、ムービー』は、旅と巡回上映を交互に繰り返す仲間たちの話であり、同時に作り手の旅を投影した物語、ということもできるのかもしれない。

また、登場人物が「水」をめぐって争うエピソードに注目したい。話の流れからして、ここではまるで「映画」と「水」が同列に扱われているかのよう。砂漠を行きかう人々は一杯の水で渇きを潤す。映画を欲する人々はその魔法のような幻想的時間によって心を潤す。

その本能的な潤いへの衝動は、富める者、富めない者とにかかわらず、だれしもが望みさえすれば満たされるものである。そうであってほしいと願う。たとえ世界が格差の激しい現状であったとしても。

この映画の作り手たちも、そういうところへ映画を運び、届けていきたいと願っている・・・のか?おい、どうなんだ、きみたち。

(そこまで深読みさせないところが本作の良いところです)

あと、試写が終わって知人と話していたのは、もしかするとこれは実は全編3時間くらいの超大作なんじゃないかってこと(インド映画だし)。細かく描けなかったストーリーもちゃんとフォローされていて、あとダンスや音楽もふんだんに入ってて・・・んなこたあ、ないか!

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"Road, Movie"
2009/India=U.S.A/95min.
Director:Dev Benegal
Cast:Abhay Deol, Satish Kaushik
 

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