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2009/12/03

タランティーノ科学捜査班

もちろん「CSI科学捜査班」のことだ。2005年に放送された人気シリーズのシーズン・クライマックス(第24話&25話)で脚本、監督を担当したのはクエンティン・タランティーノだった。「シリーズの大ファンなんだ」と公言していた割には独自の世界観を炸裂させ、またジェリー・ブラッカイマーをはじめとする製作陣もその異色ぶりを面白がってエキサイトしながら身を任せている感じ。ともかくシリーズを知らない人でも、タランティーノ好きならばお勧めしたいエピソードだ。

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ベガスのけばけばしいネオンを背景にカントリー風の楽曲が流れている。事件現場へ車を走らせるのはCSIのメンバー、ニック。一番乗りした彼を待ち受けていたのは、巻き糞のように放置された血まみれのグルグル臓物(!)。こんなものルーティーンワークさと何食わぬ顔であたりの痕跡を捜し始める彼だったが、ふとした拍子に何者かの襲撃を受ける。そして気がつくと走行中のトランクの中。彼は拉致されたのだ。誰が?何のために?

さすがのタラでもこのテレビシリーズが培ってきた抜群のミステリー・メイキングには敵うはずもなく、謎解きの面では物足りない一面を残す。だが逆にタランティーノ式の語り口に持ち込んで繰り広げられる前後半90分試合は様々な意味でタラ印の精神的、肉体的な極限状態がてんこ盛り。そうそう、このヒリヒリした感じ。しだいに僕らは「CSI」なのか「タランティーノ作品」なのか、何を見てるのか分からないくらいにぶっ翔んでしまう。

「その1時間前」と銘打たれ前後する時制。取りとめのない日常会話。飛び散る身体のパーツ。「私の世界へようこそ!」の絶叫を合図にとんでもない展開をみせるのも、一筋縄ではいかない狂気の温度を感じる。とりわけニックが生きたまま透明な棺に入れられ地中に埋められるくだりは明らかに『キル・ビル』の確信犯的アイディア・スピンオフだ。

そのままユマ・サーマンよろしくコブシで「えい!やあ!」と脱出するのかと思いきや、この閉所に酸素はないわ、ネット中継はされるわ、ほかにも受難つづきでひとり大変なことに…つまりはこのニックってキャラクター、タランティーノに相当愛されてたんだなあ。

というわけで、どこに埋まってるのか分からない同僚のボディを捜索するのが今回のCSIのお仕事。はたして彼らはニックを救うことができるのか?もちろんタランティーノのどぎつい作風は一般的視聴者が見守るテレビと相性の悪い点もあるけれど(たぶん映画版ならばニックはもっと大変な目にあってたはず。『ホステル』みたいにね)タラ作品のファンならば至る所に彼の埋め込んだメッセージを読み取ってフフフとほくそ笑むことができるはずだ。

傍から見てるとその笑みもやたらと気味悪がられる感じ。そう、これもタランティーノ作品の醍醐味。

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DVDでは「グレイブ・デンジャー」前・後編として1枚に収録。
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