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2010/03/20

ミシェル・ゴンドリー

ただいま最新作『グリーン・ホーネット』と格闘中のミシェル・ゴンドリー。

先日、彼の口からビョークとの3Dコラボ(IMAX用の40分ほどの"a scientific musical"になるらしい)について発言がなされたばかりだが、ほかにも企画は目白押し。30年以上も教師として暮らしてきたシュゼッテ叔母さんとその息子の関係をドキュメンタリー形式で浮き彫りにした"L'epine dans le coeur(The Thorn in the Heart)"は世界の映画祭を巡業中だし、彼の『僕らのミライヘ逆回転』(原題"Be Kind Rewind")のコンセプトにも通じる著作"You'll Like This Film Because You're In It"(みんなで作っちゃおう、実践編、的な内容)をベースにした映画"The We and The I"も構想中。さらにはエレン・ペイジを主演に想定したタイムトラベル物も脚本開発中だという。

彼の作品は言葉で説明すると「あーなって、こーなって・・・とにかく複雑なんだ」と誰もが言語の限界を感じるものばかり。しかしひとたび映像へ変換すると、ものの一瞬で理解できる。

元来、デジタルとアナログのせめぎ合いで独自の映像世界を築き上げてきたゴンドリーだが、ここにきてどんどん針がアナログというか、“手づくり”の領域に振りきれているのが分かる。手間さえ惜しまなければ自主製作でも作れそうな、観客が思わず身を乗り出し参加したくなる"Do it Yourself"感覚。もちろん、ただ“観る”のと実際に“やる”のとでは大きな差があるわけだが、その源泉にゴンドリー特有の変幻自在の発想=変換能力があることは言うまでもない。

たとえばミュージック・ビデオで言うと、楽曲を構成する音色ひとつひとつを擬人化してターンテーブル上に配置したダフト・パンクの"Around the World"や、パソコン上に表示された楽曲の波形をそのまま車窓の風景に見立てたかのようなケミカル・ブラザーズの"Star Guitar"が思い出される。どちらもゴンドリーの超常的な力によって見事に音を視覚化しえた作品だ。

音を視覚化する方法論はその後さらに進化を辿り、ビョークの"Declare Independence"ではアバンギャルドな現代美術のようになっている。

最新作は"Open Your Heart"by Mia Doi Todd。まさに"Do It Yourself"の典型とも言える作品だが、個人的にこれまでで最も身軽になったミシェル・ゴンドリーを観たような想いがした。

音がキラキラと瞬く様子を描くのに、デジタルはいらない。発色の良いカラフルなTシャツを着た若者たちが揃ってクルクルと回転しているだけで、音が等身大の音域で瞬いているように感じた。

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