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2010/04/11

ローラーガールズ・ダイアリー

わかる!この感覚!
上映中、ドリュー・バリモアがあらゆる地方出身者の代弁者のように思えた。

Whipitposter_2

かつてドリューは、自身が俳優業のみならず製作までも手掛けるようになった理由を問われ、「俳優業だけだとすごく不安になる。だから自分に演じる場所を与えるために、また自分が演じたい役を演じられるように、製作にも挑戦しようと思ったの」と答えていた。そんな彼女がついに監督としても船出した。『ローラーガールズ・ダイアリー』は、『ウォーター・ボーイズ』で男子シンクロ、『フラガール』でフラダンスといったように、日本でもかなり定番かつありきたりとなった青春×挑戦モノ。田舎町に暮らすひとりの少女が、“ローラーダービー”という未知なるスポーツに魅せられ、運命に導かれるようにその渦中へと飛び込んでいく。

正直、展開は最初からわかりきっているし、海外各紙の星取り批評も「5段階中3」というのがいちばん多い。その評価は正当だと思う。そしてドリューだって第一作目から大傑作を作ろうなんて端から思っていない。むしろ「3」という平均点級の作風の中でどれだけ思いっきり遊べるか、跳べるかがこの映画の見どころなのであって、その意味で言うと、先の批評のどの文中にも「まことにもってドリューらしい」という言葉が添えられているのは彼女にとって成功を意味するのだと思う。

原題"Whip It"のwhipは、ローラーダービー中に“しなり”を効かせて前に飛び出すのを示す動詞である。その“飛び出す役目”を担うのが、主人公のエレン・ペイジ(『ジュノ』『インセプション』)。彼女のダサダサ少女ぶりときたら・・・

Whipitmovie11_2
なにか人生を突き動かすようなドキドキすることがしたいと、懸命に自分探しをする彼女。でもそのどれもが空回りしてしまう。このエネルギーの喪失感。みんなに振り向いてほしいのに、誰も相手にしてくれない虚しさ。また自分へのふがいなさ。カメラの前と後ろとで、エレン・ペイジとドリュー・バリモアの想いがピタリとシンクロしたとき、まるで小汚い妖精のようなローラーガールズが「ヒョー」とか「イエ―」とか言いながら乱入してくる。これがまさに運命の一瞬と思えるようなダイナミズムを主人公に与える。彼女はローラースケートを掲げ、「これだ!」と確信するのだ。

リング名ならぬ“ローラーガール名”は「ベイブ・ルスレス(ruthless/冷酷非情)」。そんな非情な名を背負ってリンクをひた走る姿がなんとも健気でいい。

Whipit
また、
これは故郷に対するラブレターのようにも思えた。バスの車窓から眺める、いつもと変わらぬ町の風景。お年寄りばっかりで、昼間っから酔いつぶれた人がいたり、イケてる店は一軒も見当たらない。

若いころは誰もが一度はこんな場所から抜け出してみたいと思うはず。そうやって彼女はローラースケートで、ロードムービーも敵わないくらいの距離を、延々と走りつづける。まるでそうすることで故郷から脱出しようとしているかのように。でも走れば走るほど、逆に故郷が胸に迫ってくる。故郷やそこの住人や家族のことが愛おしいと思う。

たぶん、この思いは地方出身者なら誰でも経験したことがあるんじゃないかな。幼いころから芸能界で生きてきて、それなりにいろいろ失敗もやってきたドリューが、これほど楽しく、繊細に僕らの想いを代弁してくれるとは驚きだった。

で、ドリュー自身もチームメイト役で登場する。えっ、あなたのやりたい役ってこんなのだったの!?
そのささやかな脇役ぶりがまた胸に沁みる。ま、おいしい役ではあるんだろうけど。

Whip It!

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