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2010/04/28

『ようこそ、アムステルダム国立美術館へ』

昨夏、念願叶ってアムステルダムを訪れた。
ゴッホ美術館にほど近い、懸案の国立美術館は。。。

やっぱり工事中だった。

Rijksmuseum_2『ようこそ、アムステルダム国立美術館へ』2010年8月公開より

04年の改装工事開始以来、ずーっと終わらない。この先、少なくとも2013年頃まで完成しないようだ。

なぜそんなに工事が長引いているのか?何が長引かせているのか?その裏側に密着して迫ったのがこのドキュメンタリー『ようこそ、アムステルダム国立美術館へ』だ。上の画像は作品のキーアートでもあるのだが、ご覧の通り、レンブラントの傑作「夜警」の面前で、美術館スタッフまでもが絶妙なる人物配置を成している。この二重構造、まさに時空の迷宮にでも入りこんだかのよう。

美術館側が提示した改装計画に対し、まずサイクリスト協会が噛みついた。なんで!?とお思いだろうが、実はこの美術館、アムステルダム南区へ抜けるための交通路をまたぐ門としても機能している。今回の改築設計ではその要所の真ん中にエントランスを設けようとしており、「そうすると通行スペースが狭くなるじゃん!」と自転車野郎たちが黙っていなかったのだ。

Rijksmuseum_amsterdam_3   
ちなみにオランダではどこの道でも自転車用の通行スペースが確保されている。歩行者がそこをウロウロしようものなら思いっきり「チリン!チリン!」とやられ、旅行者としてはすごく落ち込むことになる。つまりはサイクリストが束になれば、それほどまでの発言権を行使できるのだ。

問題はこれだけではない。他にも地区委員会、教育文化科学省らも黙っていない。スタッフ内部でも意見が分かれる。学芸員の斬新な発案に誰かが食いつき、ようやく軌道に乗ったかと思うと入札価格をめぐってまたひと騒動。スタッフがこう漏らす。「柱をたった一本動かすだけでも誰かが文句を言いだすんだ」。 そんなこんなで彼らはすっかり立ち往生してしまったというワケ。

果たしてこれはオランダ人の国民性なのか?それともリーダーシップの欠如?民主主義の弊害?意志決定プロセスの欠陥?答えはそのすべてであり、あるいは未だに工事中の美術館自身がその答えを赤裸々に体現しているとも言える。

あ、そうだ、もうひとつ印象的なセリフがあった。

「皆が思い思いに口を出し、結局は妥協の産物になってしまった」

この、当初の熱い想いがどんどん体温を失っていく感じ。組織に属する人ならば、誰もが一度は体感したことがある心境なのではないだろうか。本作を目の当たりにしながら、だんだんと他人事とは思えなくなる自分がいた。遠い国の難題として簡単に割り切れないもどかしさが、いつまでも体内に残りつづけた。

試写が終わったのが23時。悶々とした気持ちを抱えながら自宅へ戻り、さっそくアムステルダム国立美術館の公式サイトを開いてみる。すると・・・

Meisjehardhat
ハ、ハーイ・・・!
ヨハネス・コルネリス・フェルスプロンク作の「青い服の娘」が、いまではすっかり黄色い衣装に身を包み、せっせと労働中だった。姉さん、おつかれさまです!

 
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