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2010/04/17

アリス・イン・ワンダーランド

あのティム・バートン世界が、おとな向けの暗黒度をちょっと薄めて帰ってきた。けれどこの「薄めて」というのはあくまで映画のレイティングを垣根低くするためのものであって、実際には彼の持ち味は強烈に押し出され、なおかつ、それらはこどもたちへのメッセージともなって温かく胸に迫る。

Aliceinwonderland_2
日本公開となる本日までに、全米興収3億2050万ドル(世界興収7億8500万ドル)ほどを売り上げている本作。製作費はティム・バートン監督にとって過去最大となる2億ドル。『チャーリーとチョコレート工場』の1億5000万ドルと比べても、抜きんでた企画であることが分かる。

おそらくこれが『アバター』以来の3D体験という方も多いのではないか。詳しいレビューは拙ブログの過去記事をご覧いただくとして、とりあえず観賞前に知っておきたいのは、3Dカメラによって撮影された『アバター』とは違い、『アリス』はまず2Dで撮影され、それを後から3Dへと変換したものだということ。なので同等のレベルを期待してはいけない。なお、ティム・バートンは「3D変換のことを考えて、撮影はきちんと測って行った」そうで、決して行き当たりばったりの3D製作ではないことを協調している。

今後、様々な形態の3D作品が世に出回ってくるが、さてあなたはこの『アリス』の3D、どう評価する?

対して『アバター』に足りなかったストーリー性はどうか、というと、これがルイス・キャロルの世界を知っていればいるほど面白い。「ああ、こんなキャラがいたな」という感動よりも、ジョニー・デップasマッド・ハッターに代表されるみたいに、「あのキャラをよくぞこんなに膨らませた」との驚きのほうが大きい。そしてバートンはそれらの要素をちゃんと自分の作品系列へと引水し、自分のこどもたちに語り聞かせるみたいに温かく、力強く提示する。

Madhatter ジョン・テニエル作画によるマッド・ハッター。

個人的なことを打ち明けると、この映画の中でのアリスは、我が家の95歳になるおばあちゃんとまったく同じセリフを口にした。それに対する家族のことばもほとんど同じもので、それが本作では巡り巡って拡がっていく。ティム・バートンではお馴染みのテイストとはいえ、僕はこのシークエンスにふいを突かれ、面食らってしまった。そして作り手としての彼がどうしてここまで力強くも肯定的な映画を作れるようになったのか、それはやはり彼がいま孤独ではなく、愛する家族と共にあることの現れなのかな、とも感じた。

そして、確信は持てないまでも、マッド・ハッターのキャラ造型に昨年急逝したあの人物へのリスペクトを感じてしまうのは僕だけではないはずだ。

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