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2010/04/24

ボーダー

これは映画界にとって事件だ、・・・少なくとも、そうなるはずだった。
Righteouskill_2

デ・ニーロとパチーノの共演といえば、想いだされるのは『ゴッドファーザーpart2』。しかし正確にはふたりの登場人物の生きた時代は異なっていて、同一のシーンでの共演は皆無だった。つづく『ヒート』ではギャングVS刑事の文字通りの火花散る対決となったが、これもまた対決モノの宿命として両者が同じフレームの中に収まる瞬間はなかなか訪れず、ようやく夢叶うのはわずか1シーンのみ。それも切り返しのショットが多く、実質的にふたりが向き合う時間はほんの僅かだった。

Heat_2 これは『ヒート』のワンショット。銃撃戦にも増して、「待ってました!」とファンを熱狂させるシーンでした。

配給会社の倒産などで先行きが危ぶまれた"Righteous Kill"は結局、邦題を『ボーダー』として公開されることになった。デニーロ&パチーノがベテラン刑事役として揃い踏み。もちろん今度は二人も最初から同じフレームに並んで収まっている。

クレジット的にはデ・ニーロが先だった。物語の主軸を担うのも彼。勤続30年、悪を追い続けた彼が連続殺人事件の犯行を自供する映像と共に進んでいく。被害者はみな法の裁きを逃れた悪人ばかり。まさにタイトル通りの「正義の殺人」とでも主張するかのように、現場には常に韻を踏んだ犯行声明カードが残されていた・・・。

『インサイド・マン』で注目されたラッセル・ガーウィッツが脚本を手掛けており、前作を彷彿とさせるプロットの仕掛けに唸らされる。が、本作を味付けしたジョン・アヴネット監督の演出が、ダークな作風をダークなままに押し殺し、映画としてのカタルシスを薄めてしまっているのが残念でならない。逆に言うと、アヴネットが主演のふたりを意のままに操れなかった、ということなのかも。

ただ、クライマックスにかけて、なぜか刑事モノと言うよりもパチーノがこだわりを見せるシェイクスピア劇のような様相を垣間見せるのに笑ってしまった。多分、きっと、みんなパチーノに気を使ったな。「ラストに良いシーンが用意してあるんです!あなたにピッタリのシーンが!」って口説き落としたな。。。

映画としてのクオリティうんぬんよりも、この奇跡的瞬間を映画史的にどう位置付けるか。あるいは、稀代の名優といえども演技をしてお金を稼がねばならない、だってそれがビジネスですから、的な割り切り型として受けとめるか。まあ、いずれに転んだとしても、すっかりオジイチャン化したふたりの小ジワが可愛らしくもある作品でした。若手刑事を演じるジョン・レグイザモ&ドニー・ウォルバーグ(マーク・ウォルバーグの兄)が、御大を間近で仰ぎ見ながら(気を使いながら)演技している様も、ちょっと微笑ましい。

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