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2010/04/29

「ニューヨーク・チルドレン」(BOOK)

2週間くらい格闘していた。女流作家クレア・メスードが2006年に著し、翻訳本は既に絶版になっている「ニューヨーク・チルドレン」(原題"The Emperor's Children")をようやく読了。
Children_2巻末のあとがきには「ロン・ハワード監督、ノア・バウムバック脚本で映画化が決定している」と記してあったが、最新情報によると、ロン・ハワードは製作へと退き、監督&脚本ともにバウムバックが手掛ける。『イカとクジラ』、「マーゴット・ウェディング」(未)、そして最新作"Greenberg"も好評なこの俊英監督だが、両親がジャーナリストという特殊な環境で育った経歴もあり、まさに彼にとって勝負の一作となることは間違いない。

作品は群像劇の形態をとる。かつて同じ大学で学んだ3人の親友男女(高名なジャーナリストを父に持つマリーナ、TV局ディレクターのダニエール、同性愛者のジュリアス)が、10年後の30歳になった時分でもなんとか友情を保ちつつ、それぞれのニューヨーク・ライフを送っていく。時代背景となるのは00年から01年にかけて。その間、オーストラリアからは野心に満ちた編集者シーリーが「革命を起こす」と言ってこの地に乗り込み、また南部の片田舎からは大学教育に失望した青年ブーティが新たな展望を夢見て、やはりこの地にやってくる。彼らは皆それぞれに人生の多感な時期を送り、裏切り、裏切られ、友情も愛情もほんのわずかなバランスのもとで崩壊寸前になりながら毎日をやり過ごしていく。そして、忘れもしないあの運命の瞬間が、この街に訪れる。。。

ハードカバーは600ページからなり、かなりの重厚感がある。皆がジャーナリスト(あるいは志望)なだけに、ストーリーは常に社会に対し歯に衣着せぬ目線でサバサバと展開するが、ラストの100ページでその文体は急激に湿度を帯びる。タイムリミットと共に弾け飛んだタガがすべての関係性をリセットするかのように、それぞれの胸中に変化と贖罪と絶望をもたらしていく。

ああ、これは映画でもきっと壮大な人間ドラマになるだろう。これまで人間が抱えた悶々たる想いをコミカルに紡いできたバウムバックだが、果たしてこのクライマックスの悲劇でいかに状況を揺さぶれるか。楽しみでもあり、不安でもある。彼にその覚悟がほんとうにあるのか。。。?

ちなみに現在までに候補に挙がっているキャストは、キーラ・ナイトレー(マリーナ)、リチャード・ギア(マレーナの父)、エリック・バナ(シーリー)。そしてミシェル・ウィリアムズがダニエール役に立候補しているという噂もあり、今後の進展が気になるところだ。

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