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2010/05/27

高慢と偏見とゾンビ(BOOK)

ナタリー・ポートマンが製作・主演を務め、『スリー・キングス』『ハッカビーズ』のデヴィッド・O・ラッセルが監督を務める形で映画化が進みはじめた本作。
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マッシュアップ小説というのだそうだ。あるいはハイブリッド小説とも。

要は、ヒップホップ音楽などでよくみられる「オリジナル楽曲をそのまま用いた上に、新しいフレーバーをまぶす」手法を、かの有名なジェーン・オースティンの名著「高慢と偏見」の頭上にも炸裂させてやりました、的な暴挙に出てしまったわけだ、この著者セス・グレアム・スミスという男はっ!

言うまでもなく原作の著作権は既にフリー。つまり、私もあなたもグレアムにも、この題材を自由にいじくって遊ぶ権利がある。あとがきによると、本作は約8割を原文のまま使用し、そこに「ゾンビ」のフレーバーをまぶして出来上がったという。舞台は18世紀、英国の田舎町。その全土は奇病の恐怖にさらされていた。それにひとたび感染すると、次第に身体が腐敗し、生きた屍となって人間の生血を求め彷徨い歩くようになる。そして今日も、その病原体を保持したゾンビ軍団が集団となってダンスパーティーを襲う・・・。

そこで敢然と立ち向かうのが、ベネット家の5人姉妹だ。父の教育方針で、中国の山奥でかの高名な少林派のペイ・リュウ師匠の厳しい訓練に耐え、いまやすっかり男顔負けのストイックなゾンビハンターとなった彼女たちが、いとも簡単に屍どもを撃退する。そんな中、次女エリザベスは、高慢な紳士にして戦士ミスター・ダーシーに惹かれていることを意識しはじめ。。。そのような精神的な弱さに直面するたびに、己の身体に不名誉の七つの傷を刻み、その血を滴らせる始末。

とにかく、意図はからきし分からんが、男尊女卑の世の中で彼女らは乙女として甲斐甲斐しく振舞いながらも、一方で残虐極まりないなほど最強なのである。この一つの身体にアンビバレントな性質を持ち合わせたキャラクターたちが、恋にも、武術にも、生き生きと青春街道をひた走る。

ちなみに先日、セス・グレアム・スミスの新しい著書が発売されたのだが、そのタイトルは"Abraham Lincoln:Vampire Hunter"。タイトルがすべてを言い表しているが、つまりはリンカーンが政治を司りつつも、ヴァンパイア退治に奔走する、という。そしてこれが店頭に並ぶよりも早くも「ティム・バートン&ティムール・ベクマンベトフが映画化権を取得」というニュースが報じられた。アニメーション映画『9<ナイン>』でもコンビを組んだ彼らは、本作でも製作に徹するらしい。

ともかく、本にも映画にも、マッシュアップ&ハイブリッドの時代がやってきたようだ。

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