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2010/05/25

北野武著「全思考」より

Zensiko
北野武の頭の中は理系の発想に満ちており、脚本を書いているときにも、まるで因数分解を解いているような気分に囚われることがあるそうだ。その具体例について、著書「全思考」(幻冬舎)ではこのように明示されている。

「殺し屋と銃をx、警官をabcdeとする。
普通の銃撃戦を数式で表せば、こうなる。
ax+bx+cx+ex
これをxで括ったら、どうなるかと考えるわけだ。
答えは次の通り。
x(a+b+c+d+e)
映画の表現に直せば、こういう感じになる。
最初のシーンで、銃を持った殺し屋が、道の向こうから歩いてくる。
通りには、警官隊が隠れている。
次のシーンは、その通りを去っていく殺し屋の後ろ姿だ。
通りのあちこちには、aからeの警官が死んで倒れてる。
一発も弾を撃つシーンはないんだけど、こういうやりかたでも、
銃撃戦と殺し屋の腕を表現できるわけだ」

なるほど!と思った。というのも、最新作『アウトレイジ』(拙ブログのレビューに飛びます)は、まさに殺し合い、潰し合いの因数分解だったからだ。この映画はそれ以上でもそれ以下でもない。

カンヌで賛否両論にさらされたとき、とある海外レビューに「結末に驚きが欠ける」という言及を見つけた。確かにそう感じる人もいるだろう。でも、北野武と同じく因数分解が好きな人ならば、最後に手にする答えが単なる無味乾燥な数式でしかないことを知っている。むしろ、ああでもない、こうでもない、と地道に歩を詰めていく過程にこそ、その喜びが詰まっているはず。

さて、この映画、日本でどう受け止められるんだろう??

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