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2010/05/26

パナヒ監督、釈放

イラン当局は国際的に評価の高い映画監督のジャファール・パナヒ氏(49才)を釈放した。テヘラン市内の刑務所に2ヶ月半のあいだ拘留されていたパナヒ氏のために支払われた保釈金は約20万ドルと見られており、なおかつ検察側により革命裁判所へ起訴状が提出され、後日、出廷を余儀なくされる可能性がある。

Panahi
パナヒ氏はイランにおける厳格なイスラム戒律や政治システムを告発する内容の映画作りで知られ、今回の拘留も昨年6月の大統領選に関する新作映画を準備していたという容疑によるもの。今年の3月1日に家族と共に自宅で身柄を拘束され、間もなくして家族は釈放されたものの、彼だけはその後も拘束され続けた。また最近では弁護士や家族との面会を求め、1週間以上にわたりハンガー・ストライキを続けていた。

パナヒ氏の拘留はカンヌ映画祭でも幾度にも渡って取り沙汰された。

世界の名だたる映画祭で受賞歴を持つ彼は、今年のカンヌ映画祭では審査員としての参加を要請されていた。そしてパナヒ氏の釈放を求める国際的な声が強まる中、映画祭の開会式と閉会式にはステージ上にネームプレートの置かれたパナヒ氏の空席が用意され、その不在が強調された。

イランの巨匠アッバス・キアロスタミ監督は、カンヌに出品された自作の記者会見で、彼の釈放を求めると共に、「映画製作が罪になるなんて甚だ理解に苦しむ」と当局の対応を批判。

また、キアロスタミの作品に主演しカンヌの女優賞を獲得したジュリエット・ビノシュさんは、その授賞式の壇上でパナヒ氏のネームプレートを掲げ、いまいちどイラン政府への釈放を呼び掛けた。

イランでは昨年6月に行われた大統領選挙の結果が示されて以降、その正当性をめぐって大規模な抗議デモが巻き起こった。当局との衝突により少なくとも30名が死亡したと発表されているが、反対派側の発表によると70名以上が犠牲になったという。

他にも数千人が身柄を拘束され、未だに200人の活動家が拘留中。また、9人が死刑を宣告され、そのうち2人に関しては既に刑が執行されている。

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ジャファール・パナヒ監督は1995年、カンヌ映画祭に出品した『白い風船』がカメラドール(新人監督賞)を受賞。母親からお小遣いをもらって金魚を買いに出かける幼い少女の大冒険の一日を描く。キアロスタミが脚本を担当。

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2000年にはヴェネツィア映画祭にて『チャドルと生きる』が金獅子賞を受賞。複数のイラン女性たちが現実という名の障壁に人生を阻まれ、それでもなお必死にもがく姿を描く。原題の"The Circle"とは、イランで暮らす女性ならば、環を描くみたいに本作の登場人物の誰とでも人生を入れ替え可能であるという意味が込められている。

Offside_3 2006年には、女性のスポーツ観戦が禁じられているイランの文化に切り込んだ『オフサイド・ガールズ』がベルリン映画祭の銀熊賞(審査員特別賞)を受賞。この映画は無許可撮影ながらもとんでもなくダイナミックな映像が入り乱れ、とにかく必見です。拙ブログのレビューはこちらからどうぞ。 

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