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2010/05/15

冷たい雨に撃て、約束の銃弾を

昨年のカンヌに出品されたジョニー・トーのハードボイルドな逸品がいよいよ公開。

Vengeance_2 
冒頭から凄惨な銃撃で幕を開ける。被害者はマカオで暮らす幸福そうな家族だった。幼い息子ふたりに、夫、そしてフランス出身の妻アイリーン。。。いや、彼女にだけはまだ息があった。瀕死の状態でなんとか生き延びていたのだ。

一連の報に触れ、フランスより初老の男が渡ってくる。彼の名はコステロ。集中治療中の我が娘アイリーンを前に復讐を固く誓う。その手順もちゃんと心得ていた。ひょんなことで知り合った3人組の殺し屋に仕事を依頼し、そこに彼が加わることで4人組が成立。チームの誕生を祝福するかのように昼食が始まる。料理の腕を振るうのは他ならぬコステロだった。「本業はシェフなんだ」と彼。だが一方で、銃を触らせると驚くべき手際の良さで処理する側面も併せ持つ。はたして彼は何者なのか?そして、この復讐劇の末に待つ結末とは。。。?

これは名目上、『ザ・ミッション/非情の掟』『エグザイル/絆』に続くノワール・アクション3部作の最終章だという。ストーリーや登場人物の関連性は曖昧だが、いつも通りのあっと驚く趣向を凝らしたアクションと、いい年こいた男たちがちょっと遅めの修学旅行に出かけるかのような無邪気な友情が描かれる。

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銃撃×任侠×ピクニック×記憶喪失×運動会×雨降り。。。カンヌの観客を熱狂させたいつも通りのジョニー・トーの流儀が炸裂する一方、幾度も彼の作品に触れてきた人なら少なからず察知するであろう違和感もある。何にも増してアクションの組み立て方が違う。それもそのはず、フランス出資による今回の映画製作ではトー監督に「事前に脚本を完成させること」が義務付けられたという。ご存じの方も多いだろうが、香港映画の現場では原則として脚本が存在しない。以前、『ブレイキング・ニュース』や『エグザイル』に出演しているリッチー・レンに話を訊いたが、彼曰く、「トー監督の現場では、毎朝現場に行くとその日に撮影する分のセリフのメモを手渡される。俳優が前もって映画の全体像を把握するのは不可能なんだ」。

でもさすがに今回の国際コラボでそんなやり方は通じなかった。育ってきた言語や文化の違うスタッフ&キャストが集えば、それだけ入念な設計図(脚本)が必要となる。ジョニー・トー作品の今後を占う試金石とも言うべき本作ゆえ、やはりこれまでのどんどん膨張していくアクションとは違った、コンパクトでまとまりのいいプロットが先行する。これもまたジョニー・トー作品のひとつのかたち。相手の土俵の上でもこれだけ立ちまわれるのだ。

次回作はリーアム・ニーソン、オーランド・ブルーム、チョウ・ユンファが揃い踏みするそうだが、きっと更なる国際化の可能性を引き出してくれることだろう。

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