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2010/05/22

パーマネント野ばら

ふと、菅野美穂の主演映画なんて何年ぶりだろうかと考えた。そう、『DOLLS』以来だ。だから8年ぶりになる。それだけの時間が空いたからなのか、スクリーンに映し出された菅野はかつての印象を消し去り、観客にこういう路線の演技でいくのだろう、という予測を立てさせない。そもそも本作『パーマネント野ばら』自体が、沖合に浮かぶブイのように飄々と物語の波間に身を揺らす。

それは高知の海辺にある田舎町の物語。結婚生活に終止符を打ち、幼い娘を連れて出戻ってきた“なおこ”は、母の営む美容室“パーマネント野ばら”で手伝いを続けている。いちおしのメニューは「パンチパーマ」。常連のおばちゃんたちも皆パンチが効いている。かつての親友たちも、それぞれに幸福なのか悲惨なのか分からない人生を背負って精一杯生きている。そんな中、なおこは高校教師の男性と新しい恋を育み始めるのだが。。。

『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』、『クヒオ大佐』と一筋縄ではいかないファンタジーと狂気と現実のせめぎ合い&崩壊を描いてきた吉田大八監督が、西原理恵子の原作漫画を透き通るような光のバランスで映像化。なおこの吹けば飛ぶような繊細な主観とその周囲のドタバタとが僅かに趣を異にし、やや後者に強引さを感じるのだが、その奇妙な温度差についてもラストになってようやく演出の意図が判明する。

映画の中心にいると信じていた自分(観客)の立ち位置が、俄かに主軸とずれていたのを知る瞬間、遠く離れていても実は案外近いかもしれないひとつの世界について想いを馳せた。そしてつくづく思う。物語とは、哀しみとは、希望とは、いつ、どこで発生するものか皆目分からないものなのだ、と。

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