« 『アバター』より | トップページ | 9 <ナイン>9番目の奇妙な人形 »

2010/05/05

プリンス・オブ・ペルシャ 時間の砂

ゲームが原作、プロデューサーはブラッカイマー。もうこれだけで条件反射的に胸焼けしてしまう人、案外たくさんいるのではないだろうか?

Princeofpersiaposter_3 
ペルシャが舞台なのに肌の浅黒いキャストは皆無に等しいし、使用言語も英語。これはある意味、レンズで偏光された独自のペルシャ。こうやってハリウッドは、歴史上、その手のひらの上に世界を捏造することで世界の中心でありつづけた。その製作過程も含めてひとつのファンタジーが成立していると言っていい。

と、ご都合主義の洪水に溺れそうになりながら、ふと立ち止まって考え込んだ。おかしい。。。これは面白い。『プリンス・オブ・ペルシャ』はよくできているのではないか?あまたの大作が3D公開を決め込む中、歴史の潮流に乗り遅れたみたく2D仕様なのに、である。

幼き日、ペルシャの街で見せたほんのささやかな勇気と度胸が王様の目にとまり、養子に迎えられた主人公ダスタン(役柄上の出自が分かるアクセントにも注目)。数年後、精悍な王子に成長した彼だったが、聖都アラムート陥落の功績を讃えられたのも束の間、とつぜん身に覚えのない父(王)殺しの嫌疑をかけられ、囚われの身だったアラムートのタミーナ王女とともにその場を強行突破して砂漠へ逃亡する。いったい誰が彼に濡れ衣を着せようとしているのか。。。?そして真犯人の目的は何なのか?

Princeofpersia_2

筋肉ムキムキに鍛え上げたジェイク・ギレンホールが魅せる。大方を自らがこなしたというアクションシーンは、ゲーム原作らしく「Aジャンプ」を連打したかのような跳躍に次ぐ跳躍。住居が密集したペルシャの街を屋根づたいに自由自在に飛び交うこのアクロバティックな身軽さが映画の基調トーンとなって幾度も現れる。僕らはこの目くらましのようなシーンにすっかり気を奪われ、あたかも本作が歴史スペクタクルであるかのような錯覚を起こしてしまう。そして中盤からの思いがけなくもファンタジックな展開の数々に、またも魅了されてやまなくなる。

このサブタイトルにもなっている「時間の砂」というファンタジー要素が、この映画2時間分を極上のトリックで包み込んでくれる幸福感。うーん、なるほど!そう来ましたか!

Persia_5
監督は『フォー・ウェディング』『フェイク』『モナリザ・スマイル』や『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』を手掛けた名匠マイク・ニューウェル。ハリー・ポッター役のダニエル・ラドクリフをして「彼ほど声が大きく、なおかつ英国人らしい人はいない」と言わしめるニューウェルが、まさかスペクタクルを手掛け、しかもブラッカイマーと組む時代がくるなんて誰が想像しただろう?

いかにハリウッド化されようともニューウェルらしい美しい映像はいまだ健在だ。そして『ハリー・ポッター』や『パイレーツ・オブ・カリビアン』、時おり『グラディエーター』さえもブレンドしたかのような香りが立ち込める。もちろんディズニー流に濃度を薄めてはあるのだが。

ここ最近のエンタテインメント系ではかなりの出色の出来。広大な(はずの)砂漠で「偶然の出逢い」が多すぎるのは玉に瑕だが、まあ、全体の時間的配分を考えれば致し方のないことか。米政府によるイラク攻撃がひとつのモチーフとなって投影されている仕掛けもヒネリがあって面白い。

↓おかげさまで少しずつ上昇中です。引き続き応援よろしくお願いします!

TOP】【レビュー】【TWITTER

|

« 『アバター』より | トップページ | 9 <ナイン>9番目の奇妙な人形 »

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/137483/48261645

この記事へのトラックバック一覧です: プリンス・オブ・ペルシャ 時間の砂:

« 『アバター』より | トップページ | 9 <ナイン>9番目の奇妙な人形 »