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2010/06/20

トイ・ストーリー3

そもそも人間なんて薄情なものだ。幼い頃あんなに大事にしていたオモチャとの出逢いの場面なんて覚えちゃいないし、ましてや別れの瞬間なんてまったく意識したことがなかった。彼らは気がつくと手元にあって、そして互いにさよならも言わず、気がつくとそれぞれ別の道を歩んでいた。

Toystory3_2 
うーん、『トイ・ストーリー3』には唸らされた。もちろん「うまいっ!」の意味で。『ウォーリー』『カールじいさん』と大人の感情を激しく揺さぶるミラクルな描写を有したピクサー&ディズニーの真骨頂として、今回もやはり子供よりも大人にグッと圧力をかけてくる。テーマはごく簡単。「さよなら」なのである。

人生なんてさよならの連続だ。寺山修二のお気に入りの言葉を借りれば、さよならだけが人生だ。そして前作から11年ぶりのカムバックを果たすウッディ&バズにもその機会は平等にめぐってくる。というのも、ついに持ち主のアンディが大学進学を迎える。つまり、子供の時間はおしまい。ご主人様は一気に大人の階段を駆け上り、みんなはお払い箱になってしまうのだ。このことに気付いたときの、彼らが一気に青ざめ、あわて、おびえる姿が忘れられない。「来た。。。!ついにこの時が来てしまった!」 彼らを待つのは屋根裏行きか?寄贈か?それとも廃棄処分か?

いずれの道をたどるにせよ、今回も日常の中に驚くべきアドベンチャーとスペクタクルが出現する。そして新しい仲間も盛りだくさん。その中にはジブリ作品でおなじみのあのキャラも。他にもバービーは素敵なボーイフレンド(マイケル・キートンが声を担当)を見つけ、ビッグ・ベイビーは可愛らしさに哀愁を漂わせ、紳士的なピンクの長老グマは親身になってみんなの世話をしてくれる。。。かな?Lotso_2
このクマ、名前をロッツォというのだが、なかなかのクセモノで、きっと多くの観客の心をつかむこと間違いなし!

面白いのは、おなじみの面々が辿りつくその場所に、微かに(テーマではなく、あくまで設定上のブラックジョークとして)収容所のイメージを匂わせていることだ。これは僕の考えすぎなのかなと思っていたが、海外の絶賛評に目を通しているとやはりそのことに触れている人が少なからず存在した。マックイーンの『大脱走』、あるいはグアンタナモの記憶などもネタとして取り入れているのか。。。?

そして本作はある意味、子供たちにとっては「おもちゃの気持ちになって考える」という絶好の機会になる。とりわけクライマックスのスペクタクルを目にすると、これまでごめんなさいっ!もう絶対おもちゃを大事に扱いますっ!と厳粛な気持ちに包まれることだろう。

よくぞここまで内容を洗練させられたものだ。悲哀&笑い、幸福な脱線と修復をなだれの如く繰り返しながら、登場するすべてのキャラにそれぞれの見せ場を与えて光り輝かせていく。この脚本構成、実に見事だ。

いったい誰が手掛けたのか。。。さっそく資料に目を通してみると、まず第一稿を『ウォーリー』のアンドリュー・スタントンが執筆し、それを本格的に血肉化していったのは。。。なんと!マイケル・アーント!!

Arndt
リトル・ミス・サンシャイン』で脚本賞オスカーを手にしたあの俊英が関わっていたのだ。そりゃ面白くならないわけがない。

僕らがこうして大きくなったのは、なにも親をはじめとする人間の力だけではない。幼いころ、寝ても覚めても一緒に側にいて、手にするたびに素敵な冒険へといざなってくれたオモチャの存在が寄与する部分も大きいのだ。

上映後、自分の幼いころの“お気に入り”はなんだったっけかな?としばらく想いに暮れてしまった。

彼らに心から「ありがとう」と伝えられた人は、世の中に案外少ないと思うのだ。

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