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2010/06/27

ハングオーバー!

いま、二日酔いで朦朧としながら書いている。キーを打つタッチも覚束ない状態だが、この映画のことを語るにはこれくらいのテンションが実はちょうどいいのかもしれない。二日酔いの映画である。結婚前夜の新郎を引き連れて、ラスベガスにて独身最後の馬鹿騒ぎが幕を開ける。。。かと思いきや、時間は一気に翌朝へ。戦場の如く荒れ果てたスイートルームには、昨晩の出来事を一切覚えていない3人のむさ苦しい男たちと、謎の赤ん坊、バスルームには虎。そして肝心の花婿は忽然と姿を消していた。結婚式までタイムリミット僅か。彼らは記憶を取り戻し、無事、親友を結婚式へと連れ戻せるのか!?

Hungover_2 
2009年のアメリカ映画業界において『ハングオーバー』は間違いなく、いちばんの伏兵だった。その衝撃を測り知るには個人差のある感想をしたためるより動かぬデータを持ち出したほうが分かりやすい。ドル箱の有名出演者を擁するわけでもなく、製作費も3500万ドルと比較的安価。にも関わらず、米公開時の興行成績を振り返ると、公開2週目の『カールじいさんの空飛ぶ家』をいきなり首位から引きずり降ろし、米国内だけで累計興収2億7732万ドル(これは09年公開作のうち第6位の成績)、世界興収でも4億6700万ドルに達した。もちろんこれに匹敵するコメディ作品は他に存在しなかったわけで、世間の人気と評論家の支持をピタリと同調させた本作は、その極めつけとしてゴールデン・グローヴ賞<コメディ&ミュージカル部門>の作品賞を獲得した。

不況期には巨額の製作費を計上して会社ごと沈没する可能性をはらむよりも、安価でそこそこの利益を回収できるコメディこそ好まれる。そして要となるのは、やはりまず、脚本だ。執筆を担当したのはジョン・ルーカス&スコット・ムーア(『フォー・ウェディング』『ゴースト・オブ・ガールフレンド・パスト』)。彼らのプロットは本来ならばミステリーの要素で用いられることの多い「記憶喪失」「密室」「制限時間」の3要素を、コペルニクス的発想(すみません、これ、言いすぎですね)でコメディに応用してみせる。そこで巻き起こる化学変化はミステリーで不可欠の“謎解き”の楽しみさえ観客に放棄させるくらいの、言わば“笑っちゃうくらい”の荒唐無稽さ”だった。またその全てを成立させるのもラスベガスという幻想都市が持つ危険な魅力なのだろう。

この地を舞う妖精のごとく、中盤からマイク・タイソンが闖入するのも見どころのひとつ。もう少し演技が巧かったら。。。いや下手だからこそ絶妙なリアリティが生じているのかも。対するへザ―・グラハムの女優としての可愛らしさ&潔ぎの良さも相変わらずだ。こういうキャスティングの妙が後からググッと効いてくる。そしてもうひとり、唯一飛び道具的に用いられるミスター・チョウには注意が必要。というのも彼の登場シーンには誰もが不意をつかれ、先日のMTVムービー・アワードでは"WTF(What's the Fuck!?=なんてこった!)"賞に選出されてしまった。いやあ、バカだ。本当にバカすぎる。幸福なくらいに。

すべての幕切れに用いられるちょっとした趣向にも唸った。ここ最近目にした映画の中では最も巧妙で、かつ爆笑の締め方だった。コメディはやっぱりこうでなきゃ。

すでに『ハングオーバー2』のアメリカ公開も2011年5月26日に決定。監督&キャストは同じだが、脚本は『俺たちダンク・シューターズ』(原題は"Semi-pro")や『スタースキー&ハッチ』(監督は『ハングオーバー』と同じトッド・フィリップス)のスコット・アームストロングに交代している。

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