« 全米興行成績Jul16-18 | トップページ | 北京の自転車 »

2010/07/20

ゾンビランド

もはや国家というものが未だ存在するのかどうか分からなかった。人類のほとんどがゾンビに駆逐され、生粋の人間として残っている者はごく僅か。住人の構成要素から言えば、この国、アメリカ合衆国はすでに「ゾンビランド」と化していた。

Zombieland

この荒れ果てた大地を、死に損ないの人間どもが行く。まったく・・・運がいいのか、それとも生存本能にかけて人よりもずば抜けているのか。とにかく彼らはこのゾンビに満ちた黙示録的世界で共に出逢い、やがて疑似家族のような、騙し騙されの危なっかしい信頼関係(?)を築いていく。

誰もがここまでヒットするとは思わなかった。もともとTV用に脚本執筆されながら、あまりの面白さゆえ映画版へと格上げ。長編映画は初めてのルーベン・フライシャーがその才能を如何なく発揮し、結果、製作費2360万ドルに対して、米国内だけで興収7560万ドルを稼ぎ出すヒットとなった。

本作で基軸を成すのは「ルール」だ。ここに登場する人間キャラは誰もが経験則でゾンビ回避術を体得してきた凄腕ばかり。ゆえにこの映画では過去のゾンビ映画、ホラー映画が描いてきた“ありがちな傾向”への安易な逃避が禁じられる。「トイレを使うときはまず閉まってる個室に注意」しなければならず、「ゾンビに追われたらまず、有酸素運動(走る)」は必須で、さらに「車に乗り込むときには、まず後部座席を調べる」ことも忘れない。つまり、入念な先回り戦法を施したうえで、それを上回る“予定不調和ぶり”のみが物語を紡ぐことを許されるのである。

実際、本作はゾンビの枠に留まらない。ホラー、アクション、コメディ、ファミリー、童貞、ロード・ムービーを縦横無尽に横断してみせ、それ自体がゾンビ映画へのカウンターというべき『ショーン・オブ・ザ・デッド』(エドガー・ライト監督)のエキスさえも貪欲に吸収している。

メインキャストはたったの4人。これにおびただしい数のゾンビ役者が加わるわけだが、あ、ひとり重要な人間キャストを忘れていた。しかしここではそれが誰なのか、口が裂けても言えない(80年代に“あの映画”の洗礼を受けた誰もが歓喜するはず)。彼がまさか「as himself」で登場するとは。。。また、このシーンで取りあげられる“とある映画”が、ゾンビ物でも何でもないところに、作り手の想い&巧妙なスカシがある。

きっとこの『ゾンビランド』も、80年代における『●ース●バ●●●ズ』になりたかったのだろう。

この記事が参考になりましたら、クリックのほどお願い致します。

【TOP】【レビュー】【TWITTER

-------

|

« 全米興行成績Jul16-18 | トップページ | 北京の自転車 »

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/137483/48919023

この記事へのトラックバック一覧です: ゾンビランド:

« 全米興行成績Jul16-18 | トップページ | 北京の自転車 »